第37話:ノワールとの特訓(?)
「よしよし、オリカは本当にすごいなぁ。
まさか一回で完璧に魔力をコントロールしてしまうなんて」
お兄様は、満足そうに私の頭を何度も撫でてくれた。
私は「えへへ」と照れつつも、誇らしく胸を張る。
(ふふん、これで私も『魔法暴走ギャグ担当』脱出よ!
魔力を絞り出すコツさえ掴めば、もうゴッド級効果なんて出ないわ!)
自信がついた私に、お兄様が優しく微笑みかけながら言った。
「僕は適性属性が『火』と『雷』だから、
他の属性を覚えるのには結構時間がかかったんだけど……
呑み込みが早くて天才なオリカなら、風の魔法もすぐに使えそうだね。
……どうだい? 『ウィンド』もやってみるかい?」
(お兄様が火と雷属性なのは流石カッコいいわね!
よし……覚えたての魔力操作で『ウィンド』も試してみようかしら!)
私は足元で『わんわんっ!』と元気よく尻尾を振っているノワールを見つめ、
地面に落ちていた手頃な大きさの小さな枝を拾い上げた。
(この枝を、風の魔法でそよ風に乗せて『ふわっと浮かせる』くらいなら、
今の私なら絶対に暴走させずにできるはず!)
私は手に持った枝に向かって、
絞り込んだ「魔力0.01」をそっと注ぎ込み、優しく風を思い浮かべた。
(……『ウィンド』!)
そよっ。
さわやかな優しいそよ風が巻き起こり、私の意図通りに
枝が空中へ15センチほどふわふわと浮かび上がった。
(やった! 大成功! かまいたちも起きないし、ただの心地よいそよ風よ!)
私が「できたー!」と大喜びしていると――。
『!?!?』
そよ風に乗ってふわふわ漂う枝を見たノワールが、
その瞳を輝かせて『わんっ!』と大きく吠えた。
そして次の瞬間、ノワールは私の起こした風の波に軽やかに乗り、
まるで重力を無視するかのようにピョンッと空中へジャンプ!
浮く枝を追いかけて、楽しそうに「空中散歩」を始めてしまったのだ!
(ええっ!? 空を飛んでる!?
いや、あれはノワールが自分の意思で風に乗ってるの……!?)
「すごいぞオリカ!
君の優しく繊細な風の魔法に応えて、
聖獣ノワールが『風駆け』のスキルに覚醒したんだね!」
(お兄様ー! 私の風の魔法は完璧に大成功したのに、
今度はペットの方が進化しちゃったーーーっ!!)
青空を楽しそうに駆け回るノワールを見上げながら、
私は頭を抱えてつっこむのだった。




