第192話:模倣の傀儡と、絶対耐久の陣
『キキキ……捕獲……術式……抽出……』
不気味な機械音を響かせ、胸に偽りの折り紙模様を刻んだ古代自動人形たちが、一斉に襲いかかってきた。
「ハッ、そんなノロマな攻撃が届くかよ!」
ライアン君が前に飛び出し、縦横無尽に大剣を振るう。
ガキンッと甲高い金属音が響き、一番手にいたゴーレムの装甲が砕け散った。
「光よ、悪しき影を穿て――『聖光の矢』!」
ライアン君の頭上を抜けて、エレナさんの放った鋭い光の矢が次々とゴーレムの核を撃ち抜いていく。
しかし、倒れた先から新しいゴーレムが闇の奥から湧き出してくる。さらに、一部のゴーレムが不自然に指先を折り曲げ、歪んだ魔力の紙片を空中に放ち始めた。
「オリカ様、気をつけてください! 敵はあなたの術式構造を模倣し、簡易的な結界でこちらの攻撃を相殺しようとしています!」
エリアス先生が魔導書を掲げ、敵の魔力循環を瞬時に見破る。
「私の魔法を……そんな風に使わせない!」
私は胸の前で素早く手先を動かした。
取り出した数枚の魔導紙が、私の指先で鮮やかに折りたたまれていく。
「広がりなさい……『千紙陣・亀甲百合』!」
私が放った白銀の折り紙が、空中で一気に巨大な幾何学模様の展開図へと形を変えた。
幾重にも重なる紙のヒダが、完璧な絶対耐久の理論に基づいて組み合わさり、前線で戦うライアン君とお兄様たちの頭上に重厚な防壁を展開する。
ドガガガガッ!!
敵の模倣魔術が放った不気味な黒い衝撃波が我が結界に激突するが、白銀の甲羅結界は微動だにしない。
「さすがオリカだ! びくともしねえぞ!」
ライアン君が振り向きざまにニッと笑う。
「ガウゥッ!」
防壁の影から跳躍したノワールが、聖獣の雷光を纏った爪で、体制を崩したゴーレムの集団を一瞬で切り裂いた。
「構造の論理も、込められた想いも途切れている偽りの模倣など……私の結界の足元にも及びません!」
私は強く宣言し、さらに奥へと続く大空洞の最深部――怪しく揺らめく紫の光を見つめた。




