第191話:地下大空洞への降下と、不気味な歓迎
翌朝、静まり返った学園の旧校舎奥深く。
堅牢に封印されていた巨大な鉄扉が、重々しい音を立てて開いた。
「全員、警戒を怠るな。これより地下大空洞へと突入する!」
お兄様の凛とした号令が響く。
先頭に立ち重厚な大剣を構えるライアン君、杖に眩い光の球を灯すエレナさん、鋭い眼光で周囲の魔力脈を追うエリアス先生、そして私の足元で低く唸るノワール。
螺旋状に続く漆黒の階段を降りていくにつれ、周囲の空気は急激に冷え込み、湿り気を帯びていった。
「オリカちゃん、大丈夫……?」
「ええ、エレナさん。大丈夫です……!」
階段を降り切った私たちの前に広がっていたのは、見上げるほど広大な古代都市の遺跡――地下大空洞だった。
崩れかけた巨大な石柱が立ち並び、天井からは不気味な紫色の結晶がかすかな光を放っている。
「ふむ……学園都市全体の魔力ラインが、この空洞の中央祭壇へ向かって強引に引き込まれていますね。すでに儀式は始まっているようです」
エリアス先生がメモ帳を開き、冷静に術式経路を分析する。
「チッ……コソコソ隠れてないで、さっさと出てきやがれ!」
ライアン君が大剣を地面に突き立て、周囲を警戒したその時だった。
カチ……カチカチカチ……ッ。
暗闇の奥から、無数の硬質的な足音が響き渡る。
石柱の影から現れたのは、黒い金属と古びた魔導回路で構成された、無数の「古代自動人形」群だった。その胸元には、異質な魔力で歪んだ折り紙に似た幾何学模様が刻まれている。
『イ……異常……データ……奪取……開始……』
「私の折り紙術式を模倣した……人造の傀儡……!?」
「フン、出来損ないの集団が我が妹の術式を語るな!」
お兄様が外套を翻し、一気に闘志を爆発させる。
「ライアン、エレナ、オリカを援護せよ! 影の精鋭と共に、まずは前線の雑魚を蹴散らすぞ!」
「応よっ!!」
仲間たちの決意を背に受け、私も素早くポケットから束の魔導紙を取り出した。
決戦の火蓋は、今まさに切って落とされた。




