第17話:エヴェレット家の魔力事情
あの嵐のようなお茶会デビューから一夜明け。
私は子供部屋のフカフカな絨毯の上で、
昨日大活躍(?)したお馬さんのおもちゃを
引きながら、のんびりと過ごしていた。
あのお茶会の後、
お兄様が嬉しそうに、
この世界の魔力の基準について
コッソリと教えてくれたのだ。
それによると、この世界では
一般的な大人の魔法使いでも、
魔力はだいたい「50〜100」程度。
第一線で戦うベテランの冒険者でも、
「1000」を超えるくらいが限界らしい。
それを考えれば、7歳で『魔力100』だった
あの生意気な神童くんは、子供にしては
確かにかなり優秀な部類だったのだろう。
(※私の神話級木馬に触って、
一瞬で心をポッキリ折られてしまったけれど)
だけど、もっと規格外なのは我が家である。
我がエヴェレット公爵家を率いる
パパ(ギルバート)は、国家最高峰の魔導師で、
その魔力は驚異の『5000超え』。
これくらいないと、国を脅かすような
強い魔物に対抗できないのだとか。
そして、私の自慢のお兄様は、
10歳という幼い年齢でありながら、
すでに『魔力450』に達している。
……神童どころか、将来は確実に
歴史に名を残すレベルの超大天才である。
(つまり、そんな最高峰の魔術師一家の中で、
『魔力5』と測定された私は、
完璧に「無害でただただ可愛い赤ちゃん」として
周囲に認知されているわけね。
カモフラージュとしては、これ以上ない完璧さだわ。よしよし!)
私がベッドの上で「ふふん」と
ドヤ顔で頷いていると、
勉強机からお兄様がこちらを振り返り、
ふわりと優しい笑みをこぼした。
「オリカ、機嫌が良いね。
昨日のお茶会、楽しんでくれたなら嬉しいな。
あの生意気な男の子には驚かされたけれど、
やっぱりオリカは世界に愛されている。
あの結界の輝きは、本当に見事だったよ」
(お兄様の中では、おもちゃの絶対障壁は
完全に『世界(精霊)の祝福』で
ファイナルアンサーになっているらしい……)
まぁ、おかげで私のウッカリが
全部綺麗に隠蔽されているので、
本当にありがたい限りである。
パパとママには「精霊に愛された不思議な木馬」
としてお兄様が上手く説明してくれたらしく、
パパは「さすが我が娘! 生まれた時から
世界の精霊に愛されるとは!」と、
なぜか昨日から大号泣して喜んでいるらしい。
公爵家の権力で、おもちゃのことは
すべて内密に処理されたそうだ。権力万歳。
お兄様は椅子から立ち上がると、
私の前にしゃがみ込み、
私の小さな手を包み込むように握った。
「オリカ。君は魔力5の生活魔法使いだけど、
僕がもっともっと強くなって、
一生、君のことを守り抜くからね。
だから……安心して、君の好きなように、
のびのびと生きてほしい」
(お兄様……!!)
なんという男前なシスコン。
前世で天涯孤独だった私にとって、
お兄様のこの真っ直ぐな愛情は、
胸の奥がキュンと温かくなるくらい嬉しかった。
よし、お兄様がそこまで言ってくれるなら、
私は私の好きなように(?)
この無限の魔力とスキルを使って、
陰ながらお兄様を全力でサポートしちゃおう!
――そのためには、
まずは自分の手元にある「チートスキル」の
性能を、誰にもバレないように
もう少し詳しく把握しておく必要があるわね。
私はお兄様に「あーうー!」と笑顔を返しながら、
次に試すべき隠密実験の計画を
頭の中で企み始めるのであった。




