↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『白髪の天使は折り紙を折る 〜HP無限の転生令嬢、最強の家族にノンストップで溺愛される〜』  作者: CASCADE


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
188/198

第188話:影の導き手と、師の誇り(エリアス先生の決意)



月明かりが差し込む地下通路の暗がりから、静かな靴音が響いた。


「こんな夜更けに、少し思い詰めた顔をされていますね、オリカ様」


現れたのは、エリアス先生だった。いつも通り乱れのない完璧な身だしなみで、眼鏡の奥の瞳を穏やかに細めている。


「エリアス先生……。すみません、明日からの戦いのことを考えていたら、心が落ち着かなくて」


「無理もありません。地下大空洞に眠る古代の影……それは、この学園都市が長年背負ってきた負の遺産でもありますから」


先生はゆっくりと歩み寄り、私の少し前で立ち止まると、教壇に立つ時のように背筋を正した。


「ですが……オリカ様。私が初めてあなたの『折り紙魔法』を目にした日のことを覚えておられますか?」


「え……? はい。魔法の授業で、私が紙を折っていた時……」


「ええ。当時の学園の常識では、紙などという脆弱な媒体に魔力を込めること自体が異端であり、失笑の対象でした。ですが、あなたは違った。構造の論理と魔力の循環を信じ、一枚の紙から『絶対の防御』を生み出してみせた」


エリアス先生は胸元から一枚の古いメモ帳を取り出した。そこには、私がこれまで考案してきた『千紙陣』の幾何学構造が、先生の繊細な筆致で克明に記録されていた。


「私はあの日、確信したのです。この少女は既存の魔導の枠組みを塗り替える存在になると。……そして何より、あなたの魔法には『人を慈しむ心』が宿っていると」


「先生……」


「師として、これほど誇らしい生徒はありません。古代の残滓があなたの英知を盗み見ようなど、万死に値する愚行です」


先生は低く静かな声の中に、隠しきれない静かな怒りと、揺るぎない覚悟を込めて言葉を紡いだ。


「明日の決戦、敵の術式解析および魔導線の遮断はすべて私が引き受けます。オリカ様はただ、ご自身の信じる『折り紙』に集中なさってください。……あなたに傷一つ負わせるような真似は、このエリアス・ハルトの誇りにかけて、絶対にさせはいたしません」


「はい……! エリアス先生、よろしくお願いします!」


深々と礼を執る先生の背中に、私はどれほど巨大な盾よりも絶対の安心感を覚えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。