第175話:演習の最高潮と、深まる絆
ノワールの一撃に演習場全体がざわめく中、演習はいよいよ終盤戦へと突入した。
『演習終了まで、残り十分! 最終波、大型魔導ゴーレム群の投入を開始する!』
教官の魔法アナウンスが響き渡ると同時に、地響きのような唸り声とともに、これまでの倍以上の大きさを誇る大型ゴーレムが三体、ゆっくりと姿を現した。
「うわ……あれは流石にデカすぎるだろ……!」
ライアン君がゴクリと息をのむ。
「でも、オリカちゃんの結界と私たちの攻撃があれば、絶対に突破させないわ!」
エレナさんが力強く杖を握り直し、私を振り返って微笑んだ。
「ええ、二人とも! 最後までみんなで守り抜きましょ!」
私は『千紙陣』の魔力回路に意識を集中させ、魔力を静かに注ぎ足していく。
三体の大型ゴーレムが同時に腕を振り上げ、高台の結界へ向かって怒涛の叩きつけを繰り出した。
ズドドドドドォンッ!!
激しい衝撃音と砂煙が周囲を包み込む。
監視台の上級生たちから悲鳴が上がったが、砂煙が晴れた先には――。
幾何学の模様を輝かせ、傷一つついていない透明な防壁と、その内側でまっすぐに前を見据える私たちの姿があった。
「衝撃、完全に吸収完了です! エレナさん、ライアン君、今です!」
「任せて! 『爆炎陣』!」
「一気に決めるぞ! 『烈風一閃』!」
結界の内側から放たれた二人の合体攻撃が、体勢を崩した大型ゴーレムたちに直撃する。
凄まじい光とともにゴーレムたちは崩れ落ち、同時に終了を告げる甲高いホイッスルが鳴り響いた。
『演習終了! Sクラス拠点、完全無傷での防衛成功!』
「やったわーーっ!!」
「よしっ、大勝利だ!」
エレナさんとライアン君が拳を突き合わせて歓声をあげ、クラスメイトたちが一斉に私のもとへ駆け寄ってくる。
「オリカちゃん、本当にありがとう! 君の結界がなかったら絶対に耐え切れなかったよ!」
「最高の防衛戦だったわ!」
口々に感謝を伝えてくれるクラスメイトたちの笑顔に囲まれて、私は胸が温かくなるのを感じていた。
(前世ではずっと病室で一人だった私が……こんなふうにみんなと力を合わせて、誰かを護ることができているんだ)
遠くの森の影からは、ノワールが満足そうに尻尾を振っているのが見えた。
そして本部テントでは、お兄様が「さすが私のオリカだ!!」と誇らしげに胸を張っている。
ちょっと過保護すぎる家族と頼もしい仲間たちに見守られながら、私の学園生活は大きな達成感とともに、さらなる一歩を踏み出したのだった。




