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『白髪の天使は折り紙を折る 〜HP無限の転生令嬢、最強の家族にノンストップで溺愛される〜』  作者: CASCADE


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第168話:手紙の到着と、公爵領の地鳴り




学園から差し出されたオリカの手紙が、

エヴェレット公爵家の屋敷へと届けられたのは、それから二日後のことだった。


重厚な執務室で、書類の山と格闘していたお父様と、

お茶を淹れていたお母様の元へ、執事が恭しく手紙を差し出す。


「公爵様、オリカ様より近況のお便りが届いております」


「何……!? オリカからの手紙だと!?」


お父様は書類を放り投げ、弾かれたように立ち上がった。

お母様も静かにカップを置き、吸い寄せられるようにデスクへと歩み寄る。


「まあ……! オリカ、元気にしているかしら……?」


震える手で封を切り、お父様が手紙を読み上げる。

最初の一節――学園での友人関係や美味しい食事の話題には、

二人は「なんと可愛らしい」「友達ができてよかったわねぇ」と

頬を緩ませていた。


しかし、後半の記述に入った瞬間、執務室の空気が氷結した。


『今日の実習で少し驚くような出来事がありましたが……

お兄様と先生方が助けてくださり、無事に乗り越えることができました』


「……ん?」


お父様の動きが止まる。


「……実習で……驚くような出来事……?」


お母様の笑みが消え、眉間にしわが寄せられる。


「ちょっと待ちなさい、あなた。

『少し驚くような出来事』とは具体的に何ですの……?

なぜそこにアレクシスが介入しているのです……?」


お父様は青ざめた顔で手紙の余白を何度も確認したが、

娘の控えめな性格ゆえ、危険な魔物と遭遇したという凄惨な詳細は

綺麗に削ぎ落とされていた。


「エリアスーーーッ!! 今すぐ来い!!!」


お父様の雷のような叫び声が館内に響き渡る。

数秒後、扉が静かに開き、呆れ顔のエリアス先生が姿を現した。


「公爵様、手紙の行間を読んでパニックになるのはおやめください。

……まあ、アレクシスから生徒会経由で届いた『裏の報告書』なら、

私の手元にございますが」


「それを早く出しなさい!!」


エリアス先生から差し出された報告書の束に目を通した瞬間、

お父様とお母様の顔から血の気が完全に引いた。


「『新入生の実習区域に危険魔物の侵入』……!?

『オリカが単身で防壁を展開し足止め』……だと!???」


「学園の警備はどうなっているのですか!?

我がエヴェレット家の宝物に、万が一のことがあったらどうする気!?

今すぐ騎士団を率いて学園へ乗り込みますわ!!」


「落ち着いてください、お二人とも。

オリカ様は傷一つ負っておられませんし、

ご自身の折り紙魔法で完璧に仲間を守り切ったと書いてありますよ。

アレクシスも現場で過剰なまでに対処したようですから」


エリアス先生がなだめるものの、二人の怒りと過保護な衝動は収まらない。


「ええい、やはり学園など危険すぎる!

今すぐ学園長に抗議文を叩きつけ、警備体制を十倍に強化させる!

それと……ノワール!」


部屋の隅で丸くなっていたノワールが、「ガウ?」と顔を上げた。


「お前に特別任務だ!

今すぐ学園へ向かい、オリカの影となって密かに護衛せよ!」


「くぅ〜ん……(やれやれ)」


呆れたように鼻を鳴らしつつも、ノワールは主であるオリカの危機(?)と聞き、

頼もしく胸を張って立ち上がった。


学園で平和に講義を受けているオリカの元へ、

実家からの愛という名の激震が、再び迫ろうとしていたのだった。

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