第165話:放課後の図書室と、折り紙教室?
午後の講義を終え、放課後。
私は授業の復習と魔導紙の新しい加工方法を調べるため、
学園が誇る大図書室へと向かっていた。
天井まで届く巨大な本棚が居並ぶ静謐な空間。
窓際の席に腰を下ろし、厚い魔導書を開いていると、
控えめな足音が近づいてきた。
「あの……オリカ様、今お時間よろしいでしょうか?」
振り返ると、そこにいたのは昼食を一緒にとったエレナさんと、
少し緊張した面持ちのクラスメイトたちだった。
「エレナさん! どうかしましたか?」
「実は……お昼に話していた『折り紙』について、
もし差し支えなければ、少しだけ教えていただけないかと思いまして」
「まあ! 本当ですか? ぜひ喜んで!」
私が笑顔で頷くと、みんなはホッとしたように表情を緩めた。
私は鞄から、魔力を込めていない練習用のカラーペーパーを取り出す。
机の上に数枚並べ、基本的な『折り鶴』の手順をゆっくり見せていく。
「まず、対角線に折り目をつけて……こうして端を合わせます。
角を綺麗に揃えるのが、後で魔力を流すときの精度に繋がるんです」
「なるほど……! 単なる形状の模倣ではなく、
折り目の精度が魔法陣でいう『刻印の正確さ』の役割を果たしているのですね」
さすがはSクラスの生徒たち。
手先を動かしながら、私の説明から魔法理論の核心を次々と読み解いていく。
「あ、あれ……? 私のカエル、なんだか潰れてしまったわ……」
「僕の鶴は、なんだか不格好な鳥になってしまったな……」
苦戦しながらも、楽しそうに紙と格闘するみんなの姿。
前世の病室で一人静かに紙を折っていた私にとって、
こうしてみんなでワイワイと折り紙を囲む時間は、何よりも愛おしく思えた。
「大丈夫です、最初はみんな上手くいかないものですから!
焦らず、角と角をしっかり合わせてみてくださいね」
「はい、オリカ先生!」
クスクスと温かな笑い声が静かな図書室に広がる。
知識を深め、仲間と高め合う毎日。
私の学園生活は、想像していた以上に彩りに満ちあふれていたのだった。




