第162話:実技測定と、舞い踊る白鶴
屋外訓練場へと移動した私たちは、
広大な演習場を囲むように整列していた。
中央には頑丈な標的用のアクティブゴーレムや、
魔力出力を測定するための巨大な魔力結晶が鎮座している。
「これより実技測定を始める!
各自、自身の最も得意とする魔法で標的を攻撃、
あるいは防御性能を提示しなさい!」
担任教師の合図とともに、クラスメイトたちが次々と前に進み出た。
「威力を示してみせます! 『火炎槍』!」
轟音とともに放たれる高火力の攻撃魔法や、
美しく展開される多重の魔力障壁。
流石はSクラスといった凄まじい光景に、
周囲からは歓声と拍手が巻き起こっていた。
(皆さん、本当に凄い魔力とコントロール……!
でも、私も負けていられないわ)
「次、オリカ・エヴェレット!」
名前を呼ばれ、私はスッと一歩前へ出た。
クラスメイトたちの視線が、好奇と疑問を孕んで私に集中する。
『あの子、杖も剣も持ってないぞ……?』
『本当に折り紙なんてもので実技をやる気か?』
囁き声を背に受けながら、私は懐から一枚の特殊製紙を取り出した。
指先を素早く動かす。
すり込まれた動作で瞬く間に折り上げられたのは、
一羽の美しい『魔導紙の折り鶴』。
「ふぅ……」
そっと息を吹きかけ、魔力を注ぎ込む。
すると折り鶴は命を吹き込まれたように羽ばたき、
私の手から飛び立って空中へと舞い上がった。
「なっ……紙が飛んでいる!?」
「ゴーレム、起動! 攻撃力測定モード!」
教師の操作によって、巨大な岩石ゴーレムが
猛然と腕を振り上げ、空中の折り鶴に向かって
凄まじい速度で拳を振り下ろした。
ドォンッ!!――と訓練場全体を揺らす激しい衝撃音。
砂塵が舞い散り、誰もが「いくら何でも紙じゃ木っ端微塵だ」と思ったその瞬間。
「え……?」
誰かが呆然と声を漏らした。
ゴーレムの巨大な岩の拳を受け止めていたのは、
傷一つついていない、たった一羽の白い折り鶴だった。
絶対耐久の付与魔法――。
衝撃を完全に無殺し、ゴーレムの攻撃を
完璧に受け止めて見せたのだ。
「そんな……!? あの巨大な攻撃を、たった一枚の紙で……!?」
「魔法障壁すら使っていないのに、どうして壊れないの!?」
呆然と立ち尽くすクラスメイトたち。
驚愕に目を見開く教師の前で、私は優しく微笑み、
舞い戻ってきた折り鶴をそっと手の上に収めた。
「これが、私の『折り紙魔法』です」
静まり返った訓練場に、私の凛とした声が響き渡るのだった。
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折り紙魔法の圧倒的な性能を見せつけ、クラスメイトや教師を驚愕させる爽快なシーンとなりました!
次は第163話(さらにデコイのカエルなどの応用技を披露するか、実技終了後のクラスメイトたちの反応・お兄様の反応など)に進みますか?




