第161話:Sクラスの初顔合わせと、高まる視線
Sクラスの教室の扉をそっと開けると、
室内はすでに洗練された雰囲気に包まれていた。
各地から集まった優秀な貴族の子供たちや、
卓越した魔力を持つと評価された優秀な生徒たち。
誰もが誇らしげな表情で、自分の席についている。
私が室内に入ると、一瞬で視線が集まった。
「あの子が……エヴェレット公爵家の……」
「新入生代表レベルの魔力を持っているって噂よ」
生徒たちの囁き声に、私は胸の前でそっと手を握り締める。
(目立ちたくはないけれど、怯む必要もないわ。
私は私らしく、できることを一つずつやっていこう)
意を決して席に着くと、間もなくして
厳格そうな雰囲気を纏った女性の担任教師が入ってきた。
「静かに。これよりSクラス最初のホームルームを始める。
まずは今後の授業方針と実技測定についての説明だ。
だがその前に……一人ずつ簡単な自己紹介と、
自身の得意とする魔法の傾向を述べてもらう」
教室にピリッとした緊張感が走る。
誰もが自分の実力を暗に示そうと、
姿勢を正して発言の機会を待っていた。
やがて名簿順に指名が進み、ついに私の番がやってくる。
「次、オリカ・エヴェレット」
「はい」
私はスカートの裾を軽く持ち上げ、
美しく完璧なカテシーを一礼。
そしてまっすぐ前を向き、凛とした声で言葉を紡いだ。
「オリカ・エヴェレットと申します。
私の扱う魔法は、紙に魔力を込めて様々な事象を引き起こす
『折り紙魔法』です。どうぞよろしくお願いいたします」
『折り紙……?』
その言葉を聞いた瞬間、教室のあちこちから
困惑と疑問が混ざり合ったざわめきが上がった。
貴族の嗜みや子供の遊戯として知られる折り紙。
それが魔法としてどこまで通用するのか、
クラスメイトたちの好奇と不審の混ざった視線が刺さる。
けれど、私の心は不思議と穏やかだった。
(みんなが疑うのも無理はないわ。
でも……絶対耐久の折り鶴や、デコイのカエル。
エリアス先生と一緒に作ってきた私の魔法は、
遊びなんかじゃない)
「……よし、以上で自己紹介を終わる。
では全員、着替えて屋外訓練場へ移動しなさい。
これより最初の『実技魔力測定』を行う!」
先生の言葉に、教室が熱気を帯びて動き出す。
いよいよ、私が積み重ねてきた努力と
オリジナルの折り紙魔法を披露する時がやってきた。




