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第154話:遠くのお兄様へ、甘い便り
「本当に美味しいよ、オリカ。焼き加減も甘さも絶妙だ」
「ええ、初めて作ったなんて信じられないくらいだわ。……そういえばオリカ、このクッキー、もう一枚多く焼いてあるのね?」
お母様がトレイの端にある、凛々しい青年の顔を象ったクッキーに気づいて優しく微笑んだ。
「はい! これは……学園の寮にいるお兄様の分です!」
「まあ! 離れて暮らすお兄様の分まで作っていたのね」
私が答えると、お父様も嬉しそうに目を細めた。
「そうか。お前の兄も、学園で生徒会や騎士科の訓練に追われて忙しくしておるからな。妹からの手作りクッキーとあれば、疲れも一吹きに飛んでいくはずだ」
「はい! 鮮度が落ちないうちに保存魔法をしっかりかけて、手紙と一緒に今日のうちに学園の寮へ送ろうと思っていて」
「ふふ、お兄様、いつも手紙で『早くオリカに会いたい』って書いて送ってくださいますものね。きっと飛び上がって喜ぶわ」
「くぅん!」
ノワールも「僕からもよろしくね!」と言うように元気に一声鳴いた。
一足先に学園という新しい舞台で頑張っているお兄様。
もうすぐ同じ学園に通う日を楽しみにしながら、私は心を込めた手紙とクッキーを大切に箱へ詰めるのだった。




