第150話:次なる形と、完成する『オリカの武器』
「まずは……四角い魔導紙から作れる、別の形も試してみますね」
私は新しい魔導紙を手に取り、今度は少し複雑な手順で折り進めていく。
指先で角と角を正確に合わせ、魔力の回路を意識しながら丁寧に折り目を重ねていった。
出来上がったのは、昔ながらの折り紙の定番でもある『カエル』の形だ。
「ふふ、これなら……」
私がカエルの背中に少しだけ魔力を込め、テーブルの上に置くと――『ぴょん!』と、カエルは勢いよく跳ね上がり、見事な跳躍を見せた。
「おや……! 跳躍の物理運動に魔力を増幅させる回路を組み込んだのですか?」
目を見張るエリアス先生に、私は得意げに微笑む。
「はい! このカエルは跳び跳ねる衝撃を利用して、足元の罠を発動させたり、相手の注意を逸らす『デコイ(囮)』として使えます。それに、着地した瞬間に小さな音や光を発生させる術式も仕込めそうです」
「素晴らしい……! 飛行型の『鶴』による索敵や拘束、地上型の『カエル』による撹乱と誘導。一見すると可愛らしい玩具のようですが、戦術的な価値は極めて高い」
足元では、ノワールが跳ね回る紙のカエルを不思議そうに前足でつつこうとしていた。
「鶴、カエル、そしてメッセージ専用の小さな折り紙……。普段は平らな紙としてポケットやポーチに収まるため、相手に警戒されずに持ち込めるのも最大の強みですね」
「ええ。学園の実技試験では、事前の準備や道具の持ち込みに制限がかかることもあります。ですが『ただの魔導紙』として持ち込めば、その場で状況に応じた魔道具を折り上げて対処することも可能です」
エリアス先生の言葉に、私は力強く頷いた。
社交界での足場固め、そして自分だけの特別な魔法と魔道具――。
学園へ向かうためのすべての準備が、いま確実に整いつつあった。




