第148話:頑丈すぎる折り鶴と、予想外の副産物
「伝言や偵察、さらには仕掛けとしても使える……本当に万能な魔道具になりそうです」
手のひらの上で可愛らしく羽ばたく折り鶴を見つめながら私が言うと、エリアス先生はあごに手を当てて思案するように頷いた。
「ええ。例えば密書を運ばせる際、途中で敵に撃墜されたり、破かれたりして情報が漏洩するのを防ぐため、耐久性を高める防護魔法を付加するのが一般的ですが……」
そこまで言って、エリアス先生はふと折り鶴へ視線を落とし、不思議そうに眉をひそめた。
「……おや? オリカ様、この折り鶴……妙に魔力の密度が高くはありませんか?」
「え?……あっ」
言われて私自身も折り鶴に込められた魔力の状態を詳しく探ってみて、思わず苦笑いを浮かべてしまった。
「そういえば……紙を折る時に『絶対に破れたり壊れたりしないように』って無意識に強度を高める魔力をしっかり込めちゃっていました」
「絶対に壊れない魔法、ですか……」
エリアス先生は困ったように微笑み、空中を飛ぶ小さな折り鶴をじっと見つめた。
「確かにそれは頑丈ですが……オリカ様、密書を届ける用途で手紙そのものが『絶対に破壊不可能』というのは、かえって困りものではありませんか?」
「ですよね……! 万が一、相手に渡した後に秘密を消去したくて燃やそうとしたり、破り捨てようとしたりしても、絶対に壊れないとなると……処分に困って困惑させてしまいますよね」
「ええ。『燃やせない、切れない……どう処理すればいいんだ』と、受け取った相手が頭を抱える姿が目に浮かびます」
先生の少しお茶目なツッコミに、私は思わずクスクスと笑ってしまった。
あまりに頑丈にしすぎるのも考えものだ。用途に合わせて魔力の付与強度を調整する必要があるという、大切な課題に気づくことができたのだった。




