第145話:魔力を宿す紙と、折り紙の構想
翌日、私の執務机の上には、色とりどりの薄く上質な紙が整然と並べられていた。
一見すると普通の綺麗な紙に見えるが、表面にはかすかに微細な魔力の波紋が漂っている。
「オリカ様、こちらが当家の工房で特注させた『魔導紙』にございます。上質な植物繊維に魔導鉱石の微粉末を練り込んでおり、通常の紙と違って魔力の保持率と耐久性が飛躍的に高められております」
エリアス先生が一枚の薄桃色の紙を手指で軽く示しながら説明してくれる。
「ありがとうございます、エリアス先生! まさに私がイメージしていた通りの質感です」
私は嬉々としてその紙を一枚手にとり、指先からほんの少しだけ魔力を流し込んでみた。
すると、流した魔力が紙の繊維全体へとなめらかに行き渡り、ほんのりと温かな光を帯びる。
(一般的な魔道具は、重厚な金属や宝石に複雑な魔導陣を刻み込んで作られるけれど……それだと持ち運びも大変だし、緊急時に素早く発動させるのが難しい。でも、魔力を込めた『折り紙』なら、普段は小さく折りたたんで持ち運び、必要な瞬間に立体化させて効果を発揮できるはず……!)
私のアイディアを聞いた時、エリアス先生は「実に画期的で独創的なアプローチです」と目を見張っていた。
「学園の実技試験や実戦演習において、速術性と携帯性は大きなアドバンテージとなります。まずは簡単な立体から、魔力の定着度と発動効率を検証してまいりましょう」
「はい! まずは……基本となる『鶴』の形から試してみます!」
私は気合を入れ直し、真剣な眼差しで魔導紙に向き直るのだった。




