第143話:完成した基盤と、三者の絆
運ばれてきたのは、派手さはないものの丁寧に淹れられた上質な紅茶と、甘さを控えた滋味豊かな焼き菓子だった。
「華やかなおもてなしは得意ではありませんが、お口に合えば幸いです」
「いいえ、とても心が落ち着く素朴で深い味わいですわ。ヘレナ様の質実剛健で誠実なお人柄が伝わってくるようです」
私が微笑むと、ヘレナ様は少し照れたように頬を緩めた。
「お褒めいただき光栄です。我がヴァルデック家は、陰謀や虚飾を嫌います。グランベル家が陰で小家門に圧力をかけている件も、父や我が家の騎士たちが眉をひそめておりました。……ですが、オリカ様が毅然と立ち振る舞い、クロエ様やクラリッサ様とも深い絆を結ばれたことで、あの者たちの目論見は完全に外れたと言ってよいでしょう」
「クロエ様やクラリッサ様とも……?」
「ええ。伝統を重んじるローゼンベルグ家、新たな風を追うガルニエ家、そして武と中立を担う我がヴァルデック家。オリカ様を中心に、異なる強みを持つ三家がゆるやかにつながった……これは社交界において、誰も無視できない強固な陣営の誕生を意味します」
ヘレナ様の鋭くも温かな言葉に、私は深く感じ入った。エリアス先生が導いてくださった三つのお茶会は、単なる社交ではなく、私を支えてくれるかけがえのない友人と確固たる基盤をもたらしてくれたのだ。
「ヘレナ様、私のような者をそこまで買ってくださり、本当にありがとうございます」
「感謝を述べるのはこちらです、オリカ様。貴女のような気高く誠実な方となら、互いに高め合える良き友人になれると確信しております」
ヘレナ様としっかりとした視線を交わし、私たちは温かな笑みを分かち合った。
こうして、エリアス先生が選定した三つの家門との素晴らしいお茶会は、すべて最高の形で終わりを迎えたのだった。




