第134話:二通目の招待状と、新たな企み
翌日、私室のティーテーブルには、エリアス先生によって選ばれた二通目の招待状が広げられていた。
「オリカ様、次にお会いすべきお相手ですが……こちらのクラリッサ・フォン・ガルニエ男爵令嬢をお勧めいたします」
「ガルニエ男爵家……? 確か、新興の貴族家でしたわね」
記憶を辿りながら尋ねると、エリアス先生は静かに頷き、手元の一覧表に目を落とした。
「左様です。ガルニエ家は近年、北方での鉱山開発と貿易で急速に財を成した家門です。古参の貴族からは距離を置かれがちですが、当主である男爵は非常に賢明で、派閥争いにも深入りしていません」
「なるほど……。でも、どうしてクラリッサ様からの招待を?」
「クラリッサ様は同年代の令嬢たちの間でも流行に敏感で、独自のサロンを開かれていると噂されております。昨夜の夜会でのオリカ様の『魔法のドレス』に最も強く興味を示されていたお一人でもあります」
先生の説明を聞きながら手紙を開くと、そこには繊細で華やかな筆致で、オリカのドレスやセンスに対する熱烈な称賛と、ぜひ流行や芸術について語り合いたいという情熱的なメッセージが記されていた。
「物珍しさだけではなく、純粋に新しいものへの探求心が強い方のようですね。クロエ様とはまた違った刺激的なお話ができそうです」
「ええ。新興貴族との繋がりは、将来的にエヴェレット家に新たな風をもたらす可能性も秘めております。……ただし、新興ゆえに周りの目を引こうと派手な趣向を凝らしてくる懸念もありますがね」
エリアス先生が少しだけ口元を緩めると、足元で寝そべっていたノワールが耳をピクリと動かした。
「ふふ、どんなお茶会になるか楽しみですわ。エリアス先生、さっそくお返事の手紙を書きましょう!」
私はペンを取り、新たな出会いへの期待を胸に、ガルニエ男爵邸への訪問を決定するのだった。




