第133話:父への報告と、新たな策略
屋敷へ戻った私たちは、すぐさまお父様の執務室へと向かった。
ローゼンベルグ伯爵邸で得た情報――グランベル家が我が家に好意的な小規模貴族へ圧力をかけている件についてエリアス先生が簡潔に報告すると、お父様は書類を捲る手を止め、冷ややかな笑みを浮かべた。
「ふむ……レオナルドの失態を揉み消すどころか、恥の上塗りをしていることに気づかんとはな。グランベル伯爵も愚かな真似を」
「閣下、いかがいたしましょうか。放置しておけば小家門への影響も少なからず出かねませんが」
「案ずるな、エリアス。こちらから直接手を下すまでもない。彼らが圧力をかけている貴族たちには、我が家から優先して交易と社交の機会を与えるよう手配させよう。我がエヴェレット公爵家の後ろ盾をより明確に示すだけだ」
「畏まりました。……流石の御手腕です」
お父様の揺るぎない判断に、エリアス先生も深く頭を下げた。政治的な駆け引きの鮮やかさに、私も思わず胸を撫で下ろす。
「それからオリカ」
お父様の優しい視線が私へと向けられる。
「初めてのお茶会はうまくいったようだな。クロエ嬢は誠実な娘だ、良い友を得たな」
「はい! お父様、とても楽しくて、素敵な時間でした」
「うむ。次の社交もエリアスとよく相談して進めなさい。お前が気高く咲いていることこそが、我が家の何よりの力となるのだから」
「はい!」
お父様のお墨付きをもらい、私は力強く頷いた。グランベル家の影に脅かされることなく、私は私らしく社交界での歩みを進めていこう――そう心に誓いながら、次のお茶会の準備へと取りかかるのだった。




