第129話:初めてのお茶会と、芽生える絆
陽光が優しく差し込む東屋のテーブルには、可愛らしい小花柄の磁器と、甘く香ばしい焼きたてのスコーンが並べられていた。
「このお茶は、領地から届いたばかりの初摘みの葉を使っておりますの。オリカ様のお口に合えば嬉しいのですが……」
少し緊張した様子で紅茶を注いでくれるクロエ様。一口含んでみると、華やかな香りとすっきりとした甘みが口いっぱいに広がった。
「とても美味しいです、クロエ様。お心遣い、本当にありがとうございます」
「まあ、よかった……! 実は昨夜の夜会で、オリカ様がグランベル様へ毅然とお断りされた姿があまりに格好良くて……私、ずっと胸が小さく高鳴っていたのです」
クロエ様は頬を少し赤らめながら、憧れの眼差しで私を見つめた。
グランベル家のレオナルドに毅然と対応した昨夜の一幕は、どうやら社交界の同世代の女の子たちの間で「憧れの対象」として受け取られていたらしい。
「あの時は必死だっただけなのですが……そう言っていただけると嬉しいです」
「いいえ! お召しになっていた魔法のドレスも、そして何よりご自身の意思をしっかりお持ちなところが本当に素敵でした。私も……オリカ様のように、自分の言葉で想いを伝えられるようになりたくて」
控えめだけれど、真っ直ぐで誠実な彼女の言葉。
単なる物珍しさや家柄目当てではなく、心から友情を求めてくれているのだと伝わってきて、胸の奥がじんわりと温かくなる。
少し離れた場所で待機しているエリアス先生を見ると、眼鏡の奥で「良いお相手ですね」と言うかのように、満足そうに小さく頷いていた。
「クロエ様、これからたくさんお話しして、仲良くなれたら嬉しいです。私でよければ、いつでも力になりますから」
「はい……! ぜひ、よろしくお願いいたします、オリカ様!」
満面の笑みを咲かせたクロエ様と手を重ね合い、私の初めてのお茶会は、これ以上ないほど温かな社交の第一歩となったのだった。




