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『白髪の天使は折り紙を折る 〜HP無限の転生令嬢、最強の家族にノンストップで溺愛される〜』  作者: CASCADE


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第11話:天才お兄様の、天才すぎる超解釈




「ルファス様……今すぐ、

公爵閣下と夫人をお呼びしてください」



顔色を真っ青にした家庭教師の

セバスチャンが、

ガタガタと震えながらお兄様に訴える。



(ひえぇぇ……パパとママを呼ばれたら

絶対に話が大きくなる!

お兄様、お願いだから信じないで!)



私はお兄様の膝の上で、

必死に「ばぶー?」「あーうー?」と、

首を傾げて無垢な赤ちゃんのフリを続けた。

よだれまで垂らす徹底ぶりだ。



じっと私を見つめていたお兄様は、

やがて、すうっと目を細め、

きわめて冷静な声で口を開いた。



「……セバスチャン。落ち着きなさい」



「し、しかしルファス様!

今のは明らかに――」



「今のは『偶然』だ」



キッパリと言い放ったお兄様の言葉に、

私は心の中でガッツポーズをした。

(よっしゃぁぁぁ! お兄様ナイス!)



お兄様は私の頭を優しく撫でながら、

セバスチャンを諭すように言葉を続ける。



「オリカの魔力測定の結果は『5』だ。

これは僕も父上も母上も、

全員がこの目で確認している。

そんなオリカが、君の構築した

高等な魔力回路に干渉して、

術式を書き換えることなど、

理論的に不可能なはずだ」



「それは、そうなのですが……。

では、先ほど術式が綺麗に上書きされたのは

一体……?」



「簡単なことさ。……オリカは、

『世界そのものに愛されている』んだよ」



(……ん?)



お兄様の口から、

何だか怪しいワードが飛び出した。



この世界には、万物に宿る『精霊』という

神秘の存在が信じられている。

しかし精霊は普通の人間には目に見えず、

滅多に人に力を貸さない、

きわめて気まぐれな存在とされているのだ。



その精霊を引き合いに出して、

お兄様は大真面目な顔で熱弁を始めた。



「オリカはあまりにも純真で、

あまりにも愛らしい。

だから、たまたまオリカが指を動かした瞬間、

周囲に漂っていた世界の『精霊』たちが

『オリカ様が何かしたがっている!』と

勘違いして、勝手に僕たちの魔力を

好都合に動かしてしまったんだ。

つまり今のはオリカの力ではない。

世界の方が、オリカに味方して

自動で奇跡を起こしただけ。

……そうだろう、セバスチャン?」



「せ、世界が、オリカ様に味方して……?

まさか、あの滅多に姿を現さない精霊たちが、

オリカ様の無邪気なお姿に

応えたというのですか……?」



「そうだ。僕たちの可愛いオリカは、

魔力こそ弱いが、存在そのものが

世界から愛される奇跡の天使なのだ。

君は少し、日頃の激務で

疲れているんじゃないか?」



お兄様の天才特有の

凄まじい眼力とプレッシャーに押され、

セバスチャンは冷や汗を流しながら

あごを引いた。



「い、言われてみれば……。

魔力5の幼児が術式を改良するなど

やはりあり得ません。

精霊の気まぐれ……。

はは、私も少し疲れているようですな……」



(通っちゃったよ、その超解釈!!!)



私は心の中で盛大にツッコミを入れた。

エリート魔導師セバスチャンは、

お兄様のゴリ押し理論に

すっかり洗脳されてしまったようだ。



「よし、この件は終わりだ。

父上たちを呼んで、これ以上

オリカの小さな体を騒がせるわけにはいかない。

今日の授業はここまでにしよう」



「は、はい……。失礼いたします……」



セバスチャンはフラフラと

幽霊のように部屋を出ていった。



バタン、と扉が閉まる。

部屋に二人きりになると、

お兄様は私をきゅっと抱きしめ、

耳元で優しく囁いた。



「危なかったね、オリカ。

セバスチャンは優秀だけど、

頭が固いからね」



(え……お兄様、まさか……?)



ギクリとしてお兄様の顔を見上げる。

お兄様はすべてを見抜いたような

深い金色の瞳で、悪戯っぽく微笑んだ。



「大丈夫、オリカがどんな秘密を持っていても、

お兄様が全力で隠してあげるからね。

……さあ、内緒の可愛い悪戯っ子には、

おやつの時間にしよっか」



(お、お兄様ーーーーーっ!!!)



どうやらお兄様は、

「精霊の偶然」なんてこれっぽっちも思っておらず、

私のためにあえてセバスチャンを

騙してくれたらしい。



私がただの『魔力5の赤ちゃん』じゃないことは、

完全にお兄様に気づかれちゃったけれど。

その圧倒的な優しさと頼もしさに、

私はお兄様の胸にぎゅっと顔を埋めて

甘えるのだった。

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