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『白髪の天使は折り紙を折る 〜HP無限の転生令嬢、最強の家族にノンストップで溺愛される〜』  作者: CASCADE


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112/198

第111話:ライバルの接触と、秘めたる鉄壁




「これはこれは、公爵閣下。本日の夜会でお目にかかれるとは光栄ですな」



鷲鼻の紳士――グランベル侯爵が、うやうやしくもどこか挑戦的な笑みを浮かべて頭を下げた。

お父様もまた、一切の隙を見せない極上の貴族スマイルで応じる。



「久しいな、グランベル侯爵。相変わらずお健やかなようで何よりだ」



大人たちの間で一瞬にしてバチバチとした緊張感が走る中、侯爵の隣にいた少年――レオナルド様が、お兄様に鋭い視線を向けた。



「ルファス。学院の外で会うのは新鮮だな。……そして、そちらが噂の妹君か」



「レオナルド。オリカに不躾な視線を向けるなと、学院でも言ったはずだが?」



お兄様の声のトーンが露骨に一段低くなる。

けれどレオナルド様はお兄様の威圧を軽く受け流し、私の方へと一歩踏み出すと、胸に手を当てて優雅なお辞儀をして見せた。



「初めまして、オリカお嬢様。私はレオナルド・グランベルと申します。ルファスから『世界一可愛らしくて聡明な妹だ』と毎日嫌というほど聞かされておりましたが……なるほど、噂以上の愛らしさだ」



(毎日嫌というほど!? やっぱりお兄様、学院で私のこと喋りすぎです……!)



恥ずかしさで顔が熱くなりそうになるのをぐっと堪え、私はエリアス先生と練習した通りの完璧な動作に入った。

手にしたレースの扇を優雅に開き、右頬の近くへそっと添える。



「お初にお目にかかります、レオナルド様。お兄様から優秀なご友人のお話を伺っておりましたので、お会いできて嬉しく思います」



完璧な扇言葉と隙のないカテシー。

さらに『友人』と表現することで、ライバル関係の刺々しさを柔らかく受け流してみせる。



「……っ!?」



レオナルド様が微かに目を見張り、息を呑んだ。

お父様とお母様は「見たか、我が娘の完璧なマナーを!」と言わんばかりに鼻高々だ。



「……なるほど。単に守られているだけの箱入り娘かと思っていましたが……予想以上に隙がありませんね」



レオナルド様が感心したように口元を緩める。

もちろん、彼が感心しているのは私の見た目やマナーの完璧さに対してだ。

このドレスの裏地にも靴底にも、私自身が【絶対不壊】を重ね掛けした『歩く要塞』状態になっていることなど、誰ひとり知る由もなかった。

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