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第5話 《1日終了》

 2人について行き、屋敷の方へ入ると、とても大きな玄関、?には2階につながる階段に、左右と奥に別れた道。ただただ迷いそうなそんな内装に顔を顰めてしまうミヤビだが、それを見てテラスは苦笑いをして雅の横へ並ぶ。

「うん、わかるよ…広いよね」

 そうなにか悟ったような遠い目線を床に向けてトントン、とミヤビの背中を叩く。やっぱ誰でも思うよね、と思いながらも、あはは、と苦笑いを浮かべ、コクコク頷いている。 

「カヤボシさん…?」

 彼らが屋敷デビューあるある的なのを共感していると、2人は影に覆われたような気がした。そして怒気の含んだような声が聞こえては恐る恐る2人は顔をあげる。そこには白髪でポニーテールをしていて、青い宝石のような瞳をしているメイドの人が。

「テラス君…これ、怒ってるやつだよね、」

 ミヤビは恐る恐る照へ問いかける。ブチギレてる訳では無いがほんの少し、ピリピリした空気が纏われている彼女にテラスは冷や汗をかいて、雅の後ろへさりげなく隠れる。

「ちょっ、テラス君!?」

「退けてください…今から教育しますから」

「は、はい…」

 テラスはミヤビの真後ろにしがみつき、それを感じているミヤビは守ろうとしようとするが、そのメイドから送られてくる視線に怯えてそのままテラスを売った。テラスはグイッ!と耳を掴まれて有無を言わさず屋敷の奥へ連行される。

「ぁあ…ごめんなさいね?代わりに私が案内してあげるわね」

「よ、よろしくお願いします…」

 さっきまで静かだったエレナが呆れたようにため息をついては連行されたテラスの背中を眺めてからすっと視線をミヤビへ向けてそう述べる。正直ミヤビはいい印象がないので苦笑いをしながらも頭を軽く下げてお願いすることに。

 移動中は話すことがないのか、お互いに気まずそうに廊下を歩いている。コトコト、という歩く音や、所々ですれ違うまだ働いているメイドや執事の軽い挨拶だけが、廊下に響いている気がしている。

「着いたよ」

 エレナはそう述べながらも部屋を開ける。ミヤビがその中を覗いてみると綺麗で、全体的に赤が基調となった部屋でベッドなどもあり、窓から見えるベランダにほんのりとベランダの柵を照らす月が顔を覗かせている。

「やっぱ綺麗ですね」

 と嬉しそうにミヤビは部屋にゆっくりと入るとほんの少し夢中になるように見回しているとエレナは微笑ましそうにしていた。偶々視界の端にエレナが見えたミヤビはその表情を見て、きっと、先程の口の悪さは偶々だったのかもしれない、だなんて考えていたが…

「やっぱり、こういう部屋、来たことないの?」

 その言葉を聞いて即、前言撤回である。別に言った訳ではないのだが。不思議そうな表情に首をこて、とかしげる仕草は元の顔の良さも相まって可愛いし、悪意もないのだろうが、やはり言葉の棘が心に刺さってしまう。

「ま…まぁ、お金あんまりなかったので…」

「そうなの…?まぁ、ゆっくりおやすみなさい。貴方のことはお父様とお母様に伝えておきますから、」

 その言葉を聞いた瞬間、ミヤビは時が止まったような気がした。テラスもエレナも、主的な人には伝えてるだろう、と思っていたのだろう。流石にそれはまずい、と部屋を出ようとするが、エレナに全力で止められる。

「流石にまずいです…!」

「大丈夫だからっ!寝てっ!」

 意味の分からないくだらない戦いの末、ミヤビは折れてしまう。性別の差があるとはいえ、力技でごり押すのは気が引けてしまったミヤビが負けてしまったようだ。

「なんで止めるんですか…?」

「お父様とお母様はお仕事中だし…明日言っても大丈夫だから。取り敢えず!寝てくださいね!」

 そう釘を刺すようにエレナは強く述べて部屋を出ていく。大変なことになりそうな予感を感じながらも現実逃避するようにふかふかのベッドへダイブして沈んでいく。意識と共に。

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