第2話 《異世界は無常》
初異世界。1歩、また1歩と踏み出した彼は確かな地面の硬い感触、日本とは少し異なる温度、家からは見えなかった路地裏などの細かい景色に改めてそれが現実なのだと確信する。そしてぱっと振り返ってみるとそこに家はなくただの道と道脇には出店がところどころある。
「家ごと転移だと思ってたのに」
そうガックリと落ち込む。正直、その落ち込みの感情のお陰で周りの視線が見えていなかったのだが、周りの視線は不審者を見るような、珍しい生き物を見るかのような目である。しかし全くもって気づいていない彼はそのまま、わんちゃんのご都合主義を狙いながらもなにか少しの間寝泊まりできる場所か、市役所的な場所を探そうと歩き始める。
そんな中、彼の気分としては、観光気分である。異世界といえば特別ワクワクしたりするかもしれないが、家からある程度見ていた景色ではあるし、そもそも様式がヨーロッパに似ている為、明らかに特殊すぎる生物たちを見ない限りはほとんど現世の中世ヨーロッパと変わらないため、時代は別といえど、そんなヨーロッパの景色に観光気分なようである。
すると何処からかザワザワと騒ぎ声が聞こえ、なんだろう、と彼がその方向を見た瞬間、段々と人混みが開いていくのが見える。人混みの中に現れたのは二人の騎士らしき人。片方は白髪の剣を携えた高貴な見た目をした人で、もう1人は鎧を着た、ザ・騎士って感じの人である。
「悪いが、ついてきてもらう」
「え…?」
突如白髪の騎士は雅へと近づき、そう、威厳の保たれた声色で述べる。その言葉は優しくも響くが、何処か有無を言わせない、そんな気配を帯びている。そんな突然の言葉に、そして初対面の人と話すという緊張、相手の威圧感などから思上手く喋れず固まっている。
しかし騎士はお構い無しに彼の両腕を縄で縛り、持ち上げられてはそのまま連行されていく。
彼の着いた先は少し閉塞感のある小さな部屋。椅子がぽつんと真ん中にあり、それに縛られている。
「あ、あの…なんで連れてこられたんですか?」
「自覚がないのか?」
鎧を着た騎士は呆れたようにため息を吐き、そう述べる。まぁそりゃそうなのかもしれない。あの鈍感であろうとも気づくであろう視線を向けられているのに、捕まってその理由すら理解できていないのだから、呆れてしまうのもしょうがないのかもしれない。しかし白髪の騎士は鎧の騎士を優しくなだめ、優しく微笑み雅へ向き直る。
「君は何処から来たのかな、?」
そう優しく問いかける白髪の騎士の瞳の奥にはどこか警戒と心配を孕んだものとなっている。しかし先程までの威圧感は無く、ふわふわしたものである。
「信じてくれるかは…分かりませんが多分、別の世界から」
「別の世界…」
どうやら白髪の騎士は何か見覚えがあるのかバン!と扉を開けてちょっとまってて!と言わんばかりの表情で雅の方を見て部屋を出ていく。




