表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無色の令嬢と氷の辺境伯 〜魔法のない世界で、貴方の瞳に映る私だけが本物でした〜  作者: 寝不足魔王


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
98/110

第98話:捨てられた王子の末路

「見捨てないでくれ」という、恥知らずな王子の叫び。

アイリスは、自らの言葉で過去の呪縛を断ち切り、自分を救ってくれたリュカとの未来を選びます。


 王宮の回廊に、衛兵に連行されるエドワード様の重い足音が響いていた。

 立太子を白紙にされ、北方の開拓地への謹慎を命じられた男の背中には、かつての第一王子としての威光など微塵も残っていない。


 彼は私の姿を見つけると、衛兵の手を振りほどくようにして駆け寄ろうとした。


「アイリス! 頼む、私を見捨てないでくれ! あんな北方の辺境へ一人で行けというのか!? 君が……君が私の隣にいれば、きっと父上も許してくださるはずだ。君は私の妃になるはずの女だろう!」


 その言葉を聞いた瞬間、隣に立つリュカ様の気配が、凍てつくような殺意に変わった。

 リュカ様は一歩前に出ると、腰の長剣を抜くことさえせず、ただそのアイスブルーの瞳だけで王子を物理的に圧し潰さんばかりに睨みつけた。


「……身の程をわきまえろ、無能。この女性ひとをあの日雨の中に捨てたのは貴様だ。その時点で、貴様という存在は彼女の人生から完全に消滅した」


「リュカ……! 貴様、私を誰だと……!」


「ただの罪人だ。……これ以上、その汚れた口で彼女の名を呼んでみろ。王室の温情など無視して、今ここでその舌を引き抜いてやる」


 リュカ様の包帯が巻かれた左手が、私の肩を砕かんばかりの力で抱き寄せる。

 魔法のないこの世界で、男の独占欲は言葉よりも重い威圧となってエドワード様を襲った。王子はあまりの気迫に腰を抜かし、崩れ落ちたまま、言葉にならない呻きを漏らした。


 私は、足元に這いつくばるかつての婚約者を、静かに見下ろした。

 不思議なほど、怒りさえ湧いてこない。あのアメジストのドレスを泥で汚されたあの日、私の中の「エドワード様」は、確かに死に絶えたのだ。


「……さようなら、エドワード殿下。貴方の隣にいた私は、もうどこにもおりません。今の私は、私を見つけ、愛してくださったこの方の傍にしか、居場所はないのですわ」


 私が冷徹に告げると、エドワード様は絶望に顔を歪め、そのまま衛兵たちに引きずられて暗い回廊の奥へと消えていった。


 かつての愛も、名前も、すべてを奪われた王子の末路。

 私はリュカ様の逞しい胸板に顔を埋め、彼から伝わる激しい独占の熱に、ただ身を委ねていた。


第98話をお読みいただきありがとうございます。

エドワード王子の自業自得な末路……「舌を引き抜く」というリュカ様の脅しが本気すぎてしびれます。

魔法なき世界での、最も残酷で清々しい決別でした。

「アイリスの冷ややかな視線が最高!」「リュカ様のガードが最後まで鉄壁」と思ってくださった方は、

ぜひ【★★★★★】評価やブックマークで応援をよろしくお願いします!

次話、アイリスの美学が王都を平伏させる、第99話「アメジストの凱旋」へ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ