かわいい人
次の日も約束通り9時に迎えに行って
家に連れてくる
玄関に入ると
「航さん」
後ろから急に抱きしめられて固まってしまう……
え、なんで急に?どうした?なにが起こった!?
「昨日はありがとうございました
私、航さんが言ってくれたことめちゃくちゃ嬉しくて泣いちゃいそうでした」
ん?、昨日……
幸せにできるように頑張りますってやつかな?
まぁ、嘘は言ってないし、いいか笑
「本心だよ、全部」
「嬉しい……私もう充分幸せなんですけどもっと幸せになっていいんですか?」
「……いいに決まってるじゃん笑」
「ふふ……っグス」
鼻をすする音がして、えっ?と思い
後ろを振り向いてなぎささんと向かい合う
「泣いてるの?」
大きな目から涙が潤んでいる
「嬉しくて……」
「なぎささんは嬉し涙する人?笑」
「も〜笑わないでくださいっ」
「え〜?なんで?かわいいじゃん笑」
「もう泣いてません」
涙を指で拭って言われる
肩に手首を乗せて顔を覗き込む
「ほんとだ、もう泣いてないね笑」
「〜っ!!!」
「あはは!顔真っ赤!笑」
「早く入ろう」
手を握って引っ張ると慌てて靴を脱ぎ始める
「お茶淹れるから待ってて」
いつものようにテレビの前のソファーに座ってる
お茶を置いて当たり前のように隣に座る
はぁ〜落ち着く……
「ノート持ってきましたよ」
「一緒に見よ〜」
「え!それは恥ずかしいです笑」
「なんで?笑」
「1人の時に読むのが普通ですよ?笑」
「俺としかしたことないのに比べる相手いないじゃん笑」
「ダメです!そういう決まりですっ笑」
「はいはい笑」
「あ!
姉ちゃんが友達の結婚式の二次会でたこ焼き器当てて
うちに2台あったから俺もらってたんだよね」
「た、たこ焼き……!!」
「買い出しに行こうか」
「っ!やった〜!」
え、かわいい!!けどリアクションしたらまた敬語に戻っちゃうかも……軽くスルーしておこう……
「ふっくら焼けてあつあつの〜……」
俺が知ってるたこ焼きの歌を歌いながら運転する笑
もう、ほぼ無意識のことだった
「ふふっ、なんですか?その歌、ふふふ」
「え?知らない?笑」
「聞いたことないです笑」
「ほんと?笑
同じ世代のはずなんだけどな笑」
「小さい時はひたすらテコンドーだったので……笑」
「いや、今もたまに流れたりするよ?!笑」
「えっ!そうなんですか?笑」
「恥ずかしいじゃん、みんな知ってると思った笑」
スーパーに着き、
一緒に買い物をする
付き合ってから初めて2人で買い物するなぁ
なんか………新婚みたいだな、これ
俺がカゴを持つと
なぎささんがカートを持ってこようとするので
アイコンタクトでいらないアピールをする笑
「たこと、卵?、小麦粉〜、キャベツ……」
「……紅生姜とかですかね?」
「あ、たこ焼きの粉ってあるじゃん!あとは……天かすとかって書いてある」
「私、卵とってきます!」
「はーい」
レジに並んで家に帰ってくる
2人で材料を切ってたこ焼きパーティが始まる
「え、もうすっげー楽しいんだけど笑」
「私もです!!!」
「まだ焼いてもいないのに笑笑」
2人で楽しくて笑顔になる
ジュワーっと液を流し入れて
たこ焼きを作る
「美味しい!!」
2人で熱々のたこ焼きを頬張りながら
めちゃくちゃ食べた笑
「あー、楽しかったしお腹いっぱい」
「私、洗い物しますよ?」
「大変だから一緒にしよう」
2人で作って2人で片付けて
なんか1人でするより早く終わるし
2人ってめちゃくちゃ楽しいな
友達とでも楽しいけど、彼女となると癒しも加わって
また違った楽しさがある
「俺なぎささんが初めての彼女でよかった」
皿洗いをしながらポツリと言葉が漏れた
「…そんな、それは私の台詞、、です」
お皿を洗い終わって、お皿を2人で拭いていた途中で
目が合う、
そのまま目線が唇に行って……
吸い込まれるように2人で唇を合わせた
初めてのキスだった
たこ焼きソースの味
唇が離れて目を開けると
唖然とこちらを見ている
……俺もキスしようなんて思ってなかったけど
体が勝手に動いてしまって
2人で恥ずかしくて動きがギクシャクする
「……ごめん、ビックリしてる自分でも笑」
「私も……」
「……唇柔らかいね」
「っ!恥ずかしい……カサカサしてたかも、」
「いや、カサカサしてなかったよ」
「……」
もう、なぎささんが顔も首も耳まで赤くなってて
ゾワゾワッとたまらない気持ちになる
また、キスしたい
初めてのおもちゃをもらって夢中に遊ぶ子どものように
好奇心なのか、キスをしたくてたまらなくなってくる
「……もう一回確かめてもいい?」
言った後に、しまった……と思った
こんなことキモくて引かれちゃったかもしれない
そんな俺の不安をよそに
お皿と布巾をゆっくり置いて
俺の服の裾を握って背伸びして
顔を近づけてきて、目が合う
なぎささんの返事を待たずに
そのまま後頭部を持って頭を引き寄せて
優しく唇を合わせた
ふにっと唇に柔らかい感触があり
吸い付くようにフィットする
そのまま軽く喰むとチュッとリップ音がして
本能的に何回も繰り返し角度を変えてまた喰む
はぁっ、と合間合間で吐息が漏れて
夢中で唇を合わせる、
キスって、柔らかくてあったかくて
気持ち良すぎる……
チュッ……っと唇が離れて
2人でため息のように吐息をつく
2人とも肩で息をして目が合う、
ズクズクッとお腹の辺りがゾワゾワして
ゆっくり確実に興奮してきてるのがわかった
なぎささんから目が離せなくて
雄々しい目付きで見てしまう
パッと目線を逸らされて
自分も目を逸らして深呼吸する
落ち着け、落ち着け……
「ここ片付けてしまおう」
「……、」
なぎささんがコクンと無言で頷いて
急いで片付ける
頭の中はもうキスのことでいっぱいいっぱい
もっとキスしたくてたまらない
パパパッと素早く片付けを済ませて
なぎささんの手を握ってソファーに連れて行く
座らせて向き合う
「もう一回したい」
なぎささんが目線を斜め下に下ろして
返答に困っているのがわかるけど
もうキスしたくてしょうがない自分を抑えきれない
肩を押してドサっとソファーに押し倒した――――




