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第51話:正妻戦争!?嫉妬狂いの炎ウサギと気まずい朝

 しかし、カオスはまだ終わっていなかった。


 カエンの悲鳴とレントの怒号の連続は、テントの中の『第三の存在』を見事に叩き起こしていた。

 彼らの即席ベッドの足元から、オレンジ色の毛玉が突然跳ね起きた。


 フィラ・バンの長い耳がピンと立った。


 燃えるような赤い目が、カエンシスタを鋭く睨みつけ、次に腹を押さえているレントに視線を移す。

 そして、再び殺気立ったオーラでカエンシスタを睨みつけた。


 そのペット(そして未来の嫁)としての動物的な本能は、即座に一つの結論を導き出した。


(あのうるさい紫の女が、今さっき私のマスターにくっついていて、そして今、私のマスターを蹴り飛ばした!?)


「ピューゥゥゥッ!!!」

(私の所有物によくも触ったな!)


 合図もなしに、フィラ・バンは毛皮の弾丸のように前へ飛び出した。

 小さな口を大きく開け、げっ歯類の歯を剥き出しにし、二つの耳からは怒りで小さな火花を散らしている。


 ターゲットは――カエンシスタのサイハイソックスと太もも!


「え、えっ?ちょっと!狂犬ウサギ、何を――キャアアアアッ!」


 フィラがプリーツスカートの裾に噛みつき、怒った唸り声を上げながらアグレッシブに引っ張り始めると、カエンはヒステリックに悲鳴を上げた。


「この強欲な火の玉を私から引き離しなさいよ、鉄仮面!」

 カエンは狭いテントの中で片足でパニックになりながら飛び跳ね、フィラの死の噛みつきを振り解こうとした。

「あいつ私を燃やす気よ!あんたのウサギ、私に嫉妬してるの!?」


 腹の痛みをこらえながら顔をしかめていたレントは、そのカオスな光景を絶対的な無表情で見つめていた。

 彼は長いため息をつき、助ける気など微塵もなかった。


「いいぞ、フィラ。その馬鹿な女を噛みちぎれ。さっきの蹴りの慰謝料代わりだ」

 レントは平坦に褒め、早朝から自分のペットが復讐の処刑を行うのを放置した。


「ピュウ!」

(任せて、マスター!)

 フィラは誇らしげに答え、カエンのスカートの裾をさらに凶暴に咀嚼し続けた。


「レント・カエンダのバカヤロォォォォ!!」


 30分後……。


 フォレンス森の朝の空気は、突如として信じられないほど気まずい無声映画の舞台へと変わっていた。


 樫の木の下のキャンプエリアで、レントとカエンは自分たちの起こした騒動の後片付けをしていた。

 40銅貨の緑色のテントは解体され折りたたまれていたが、二人の動きはオイル切れのロボットのように非常にぎこちない。


 誰も声を発しない。

 互いに目を合わせようともしない。


 レントは茂みの方を向いてしゃがみ込み、カエンに背を向けながらテントのペグのロープを巻くのに忙しくしていた。

 普段は冷静なこの平坦な顔の青年も、今は少し焦ったように動いている。


 彼の耳の先はまだ赤く火照っており、今朝自分の体に密着していたラベンダーの香りと柔らかい感触の記憶が残っていた。


 一方、カエンシスタは、まるでその無生物に自分の羞恥心をぶつけるかのように、ものすごい力で『拾い物』のバックパックに毛布を押し込んでいた。


 紫髪の少女の顔は、いまだにチェリートマトのように赤い。

 視界の隅に無意識にレントの背中が映るたびに、彼女はビクッと息を呑み、慌てて顔を背け、下唇を強く噛み締めた。


 キャンプ場に響くのは、テントの生地が擦れる音とバッグのジッパーの音だけだ。

 二人の間に漂う気まずい空気は、ナイフで切り裂けそうなほど分厚かった。


 そんな中、主人のピンク色と赤色が入り混じったオーラから離れた場所で、一匹の炎のウサギが苔むした岩の上に座っていた。


 フィラ・バンは前足を折りたたみ(ウサギが腕組みをできるとすればだが)、鼻を前に突き出していた。

 オレンジ色の毛むくじゃらの頬は大きく膨らんでおり、まるで怒っている蒸し肉まんのように見える。


 彼女は先ほどの主人の胸での『縄張り争い』の事件のせいで、まだ激しくすねていたのだ。


 もともと解剖学的な顔のパーツを一切持たない、ただの翼の生えた青い毛玉であるモロが、その岩にフワフワと近づいた。

 本物の目や口を持たないため、モロの表情は丸い体の上下運動と光の点滅でしか表現できない。


「ふむ……おい、太っちょウサギ」

 モロは親しげなトーンで挨拶し、フィラの顔の真正面に浮かんだ。

「その岩の上で何をしてるんですか?庭の置物になる練習ですか?」


『太っちょ』という神聖な言葉を聞いて、フィラはカクカクと首を向けた。


 彼女の燃えるような赤い目が、顔のない青い球体を鋭い光で睨みつける。

 フィラの頬はさらに大きく膨らんだ。


 岩の周囲の空気が急激に熱を帯び、極度の不機嫌バッドモードに陥っている未来の嫁からの、目に見えない脅威のオーラを放ち始めた。


 生物学的な汗腺を一切持たないモロでさえ、瞬時に信じられないほどの威圧感を感じ取った。

 小さな翼がパニックで震える。彼は慌てて空中で後ろへ下がり、岩から距離を取った。


「は、はい、はい!分かりました!邪魔はしませんから!」

 モロはしどろもどろになって叫んだ。

「どうぞ瞑想を続けてください、ウサギ陛下!」


 モロは素早く飛び去り、大きな樫の木の幹の後ろに隠れた。

 しかし、恐怖に震える代わりに、その何もない青い丸い体は激しく震えていた。青い光がディスコの照明のように高速で点滅する。


(おおおおっ!これは何だ!?)

 モロの心はマッドサイエンティストのように興奮したトーンで叫んだ。


(頬を膨らませるだけで、温度を操作し、高レベルの威圧オーラを放つことができるだと!?)

(この精霊ペットは、まだ未開放の別の能力を持っているようですね!高度な進化の兆候、でしょうか!?引き続き観察しなければ!)


 ウサギがただ激しく嫉妬しているだけだとは全く気づかず、モロはそれを高度な魔法の発見として記録したのだった。


「コホン」


 重く、無理やり作られた咳払いの声が、そこにいるすべての生き物の物思いを打ち破った。


 レントはすでにショルダーバッグを提げて立っており、緑色のテントはカエンの巨大なバックパックの上にきれいに縛り付けられていた。

 青年は前方の道を真っ直ぐに見つめ、2メートル離れた場所でまだ顔を背けて立っているカエンの方を一切見ようとしなかった。


「キャンプの片付けは終わった。今すぐ出発する」

 レントは短く言い、声はまだ少し硬かった。


「よ、良かったわね!さ、さっさと歩きましょ!早くこのムカつく森から抜け出したいわ!」

 カエンも早口で返し、まだ青年の顔を見る勇気がないまま、小走りのような歩調でレントを追い越して先頭を歩き出した。


 レントは小さく息を吐き、まだ温もりを感じるうなじをさすった。


「モロ。フィラ。行くぞ」


 フィラはまだふくれっ面をしたまま岩から飛び降り、モロは後ろからフワフワとついていった。


 この気まずい一行は、次の目的地である『白ウサギの谷』に向けて、フォレンス森の残りの道を再び歩み始めた。

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