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唐辛子のような日々  作者: ミト
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何かの陰謀

「でも…

私だけが情報を話すのは不公平じゃないですか…?」


私は素直に言ってしまった。


「…不公平というと…?」



「私はここでの事を田宮さんに報告したりするんですよね…?確かに色々な疑問とかはありますし、真実を知りたい気持ちもあります。

…でも、少なからずこの団体をいいなとは思うし、鈴香さんと仲良くなりたいのにそんなスパイみたいな事して、私は田宮さんの情報を何も知らない…」



「…確かに。


そうだね。

君が僕について知りたいことは何かな…?

答えられる事なら答えるよ。」


この人の言う事も納得できるのだけれど、せっかく鈴香さんと仲良くなれて、同じような気持ちの人達と出会える場を壊したくない気持ちもあった。


私は1番気になっていた事を聞くことにした。



「依頼者とは誰ですか…?」




「…答えにくい質問だね…。」


「答えられないならいいです。他の人を当たってください。

私は軽い気持ちで鈴香さんを裏切りたくない。」



「なるほど。さっきも言った通り彼女とは長い付き合いだが、彼女は僕の中では要注意人物だ。この団体に深く染まっているからね…。

だから、この話を彼女にされると僕は非常に困る訳だ。

…という事でどうやらその質問には答えなきゃいけないみたいだね。」


「答えていただけるんですか?」


「ああ。

依頼者はとある企業だよ。

NAR株式会社…と言ったらわかるかな?」


「!!大企業じゃないですか!」



NAR株式会社は洗剤などの日用品を幅広く取り扱っている企業だ。

私は暫く購入していないが、普通の家庭にならあるごく一般的な物を販売している。


なるほど…

読めてきた。



「この団体があると、その企業は困る…ってわけですね。」



「まあ簡単に言うとそんな感じだね。

この団体はどんどん大きくなってきていてね。

ナチュラルなものが日常的に普及されていくと、こういった日本の企業の製品を買う人が少なくなってくるわけだ。

まあ、それ以外にも色々と因縁があるみたいなんだが、それは君がここで知っていけばいい事だと僕は思うよ。百聞は一見にしかずだ。」



「…わかりました。

正直に答えてくれて嬉しかったです。

どこまでできるかわかりませんが、協力します。」





「熊田さーーん!!!」


鈴香さんが駆け寄ってきた。


「あ、2人で居たんですね。

そろそろパーティがお開きになるみたいなので、会員カードを受け取って物販に行きません?

よかったら田宮さんも。」


鈴香さんは屈託ない笑顔で私たちを見つめた。

少し胸が痛くなった。


「僕は遠慮しておきます。

まだ家にストックありますし、この後仕事があるもんで。」


「あ〜お忙しいですもんね!


熊田さん、行きましょ〜!」


鈴香さんに手を引かれて歩き始めると


「あ、熊田さん!

これ、僕の名刺です。

何かあればこちらに連絡をください。いつでもお話聞きますよ。」

田宮昇はさっきとは違う、爽やかな笑顔で名刺を渡してきた。



「ありがとうございます…」










私と鈴香さんは、会場の出口へと向かった。


そこには最高ランクのカードを持つという男性が居た。



「こちら、熊田美沙さんの会員カードです。」


両手で丁寧に渡されたのはカードとフライヤー1枚だった。そのカードは、簡易的に作られたカードだったが、QRコードと顔写真がついていた。



「こちらのフライヤーに会員限定のアプリの使い方が載っています。

アプリをダウンロードしたらカード番号を入力するとログインできますよ。

ちなみにカードは紛失されると貯まっていたポイントが失効するので気をつけてくださいね。」



「はい、ありがとうございます。」


私はカードとフライヤーをカバンにしまった。



「行きましょ〜!物販はこっちです〜!」


鈴香さんに手を引かれ、会場から出て少し廊下を進んだ先にある部屋まで歩いた。





そこには、色々な商品が置いてあった。

ドラッグストアで買えるものだったり、英語で書かれた商品等…。


「ここには普通のドラッグストアでは買えないものも沢山あるんですよ〜。ここで購入すればポイントも貯めれますし、こういったイベントがない日でも10時-20時までならこの物販スペースは開いてるので、購入だけ来ることも出来ますし便利ですよ〜。」


「なるほど…」


私は英語で書かれた見たことの無いチューブ型の容器を手に取った。


「あ、これは歯磨き粉です。


今有害と話題になっているラウリル硫酸ナトリウム、フッ素が入って無くて代わりにカルシウムやリンといった自然なものが使われてるんですよ〜。」



なるほど。

私もその有害性を気にして最近は歯磨き粉を使わず、そのまま磨いていた。

「これ、買ってみます。」


物は試しだ。

ここの事も知りたいし、ここで取り扱っている物も知る必要があるし購入してみよう。



私は歯磨き粉をレジに持って行った。


「420円です。カードの提示をお願いします。」

案内してくれた男性と同じような雰囲気の男性に、無機質に接客される。

男性はカードのQRコードを読み取り会計をした。




「熊田さん、帰宅してアプリを開いたら購入履歴やポイント履歴を見れるのでまた確認してみてくださいね!」


鈴香さんは私がここで買い物をした事が嬉しかったのか、満面の笑みで私を見つめた。



「何から何までありがとう。」



私は少しの罪悪感のせいか、鈴香さんの目をまっすぐ見ることが出来なかった。

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