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唐辛子のような日々  作者: ミト
12/16

砂漠に現る蜃気楼?それとも桃源郷?

会場は多くの人で溢れかえっていたが、主催者らしき人のお話を聞く為に列に並んだ人が大半で今、立食出来るスペースにいる人は10人程度となっていた。

私たちは途中飲み物を手にしながら会場の中央付近まで歩き、私は周りを見渡してみた。



明治時代の頃に建てられた建物だろうか?



西洋式の文化が至る所に取り入れられた壁や天井、ここはさながら迎賓館か鹿鳴館と言った感じだろうか。

壁に掛かった絵画も飾りとして掛かっているものでは無く、おそらく名画で高価な作品なのだろう。



「驚いたでしょう。何もかもが。」鈴香さんは私を見つめて話し出した。


「この建物は主催者の先祖がお持ちになってたものらしく、当時は財閥系の方だったみたい。」

「戦後、GHQににその財閥は解体されて無くなってしまうのだけど、彼はビジネスで成功してこの建物やお屋敷を買い戻したみたい。」




雰囲気に圧倒されて立ちすくんでいると突然、背後から声をかけてきた男性が現れた。


「初めまして…で、良いのかな?」その紳士的な男性はダークネイビースーツに身を包み込んで、

背筋が伸びた40歳前後の人だった。

「その感じだとこの会はおそらく初めてでしょう。」


「よ ろ し く、私、タミヤノボルと申します。」


田宮昇とだけ記された名刺を差し出された。


「私がこの会に参加したのは今から一年前ぐらいかな。 普段はサラリーマンをしているのですが、最近話題のSDGsやLGBT、地球温暖化、ビーガンなど人が生きていく上で、自然とは何か?必要なことは何か?を考えるようになってたら、ここにたどり着きました。」


「鈴香さんとは昔からの知り合いなので、もしよかったら私にも声を掛けてくださいな。」

そう言うと田宮昇は立ち去った。




…みんないい人ばかりに思える反面、何か違和感も感じる。

この違和感は何だろう。


言ってることも素晴らしい、笑顔も素敵、この会には自分の求める世界があるような気持ちにさせてもらえる。

でもその満たされた気持ちが何故か不安になる。




あまりに幸せという名の完成された世界だからだ。




大儀は≪ナチュラル≫、人は満たされたいから努力する。

このナチュラル思考同窓会もそういった思考の持ち主が集まる会のはずだ。

でも、ここにいる人はもう既に満たされた人が集まっていて、向かう希望の笑顔と言うより、

達した笑顔に見えてしかた無い。



では、ここに集まった人は一体何に満たされた笑顔なのだろう?




ふと会場の端に目をやると、主催者とお話が出来る列が10人足らずとなっていた。

私は思い切って

「鈴香さん?もしよかったら私に10ポイント貸してもらえない?」と尋ねてみた。


「ええ、いいですよ。 私はポイント集めが目的では無いし、何より熊田さんを紹介したポイントは熊田さんに差し上げようと思っていたから。」

そう言って鈴香さんは鞄に入っていた金券?チケット?のようなものを私に差し出してくれた。


「ありがとうございます。」

そう言って私はこの会の本質に迫る列の最後尾に並ぶ決意をした。



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