⑲
これから、どう行動するか話し合う。
「反乱が起きたので、王都は混乱してます。ただイルミオ殿下は姿を現して無いようです」
「イルミオは動いてないのか?」
「今の所、表だっての動きはありません」
玉座が欲しくて反乱を起こしたはずなのに宣言すらしてないと言う。
「もしかすると、ラスに拘束されているのでは?」
「その可能性があるが、イルミオ殿下の近衛が動かない訳がないだろう」
ラスに協力している者がいるにしても、数が少なすぎる。
「いや、巨大化した魔物擬きは実験の途中経過で、小型化が出来たのであれば制圧可能かも知れません」
その兆候が育った街にあったと言う。
「なら城の中は、その魔物擬きだらけかも知れないと言うのか?」
「可能性だけで言うのなら」
「なら今いる兵を全軍率いて行かなければならないだろうな…。そうなると民に被害が出る」
民を思ってか、陛下の顔色は優れない。
「それですが、隊長の力を借りれば被害を最小限に出来るかも知れません」
あと、頼んでいた件はどうなりましたかと聞いている。
「光魔法を使えるのは20人くらいしか居なかった」
「それだけ居れば充分です。その者達にこれを持たせで王都を囲ませて下さい」
小さな金属を渡す。
「隊長もお持ち下さい。術の効果を高める為の物になります」
ルドラは早速動くべく、光魔法の遣い手に指示をだしに部屋を出て行った。
作戦は光魔法の遣い手が王都を囲み、浄化魔法を使い魔物擬きの出現を阻止。
城の中の魔物はレナードの魔法で浄化・消滅させる。
あとは、陛下とレナード達がイルミオ殿下とラスを説得または取り押さえると言うものだった。
「兵は半分連れていき、半分は砦に残した方が良いでしょう」
それで良いと思うが何かが引っ掛かる。
イルミオ殿下が、エミリオ殿下を疎ましく思っていたのは分かるが、執拗なまでに砦やタナーク地方に魔物が出たのは何故だ?
ここはラスが実験をしていたとしても、タナーク地方は何のために…。
「隊長どうしました?」
「タナーク地方と隣接しているのは何処だ?」
「谷を間に挟みますが隣接するのはマジェリ国とシゲーア地方です。それが何か?」
マジェリ国王は好色家だと聞いたことがある。
もしラスの言ってる王は、我が国の王ではなく、他国だったら?
そう考えると辻褄が合う。
「私達は思い違いをしていたかも知れない。そうなるとイルミオ殿下が危ない」
「隊長?」
自分の考えを伝える。
「…確かにその可能性が高いですね。ラスが他国の子供だとは思いませんでしたが、言われてみるとラスの瞳の色はマジェリ国特有の赤ですね」
イルミオ殿下の野心を利用して内乱を起こして、ユーザレスを自分の支配下におき、マジェリ国に攻めいるつもりだったのだろう。
だが、陛下の判断により城の兵はここにいる。
「計画をことごとく邪魔されているラスは、自棄になって行動を起こすかも知れない」
イルミオ殿下を人質にとり進軍する可能性がある。
「陛下には半分の兵を率いて王宮に向かって頂き、城を取り戻して頂きたいと思います」
ザガートとウィルには残りの兵とタナークの国境に向かってもらう。
「私も城を開放したのち、タナークに向かう」
「ウィル、光魔法を使えれば良いのだろう?私が使える」
自分の城を取り戻すのだから自分がやると陛下が言う。
「確かに陛下の魔力なら問題ありませんね。ルドラ大将軍も行くのなら大丈夫でしょう」
「ならレナードは最初からタナークに向かえ。戦争にならぬよう食い止めよ」
「御意」
砦には隊員達のみで守る事になる。
「カイル、砦を頼むぞ」
「畏まりました。前回の様な失態はしません」
砦の隊員達で守りは完璧だと思うが、油断は禁物だ。
「そこでのびている、エミリオも光魔法が使える。砦に残すゆえ扱き使って構わない」
「殿下が残って頂けるなら安心です」
どこから情報が漏れるか分からないので兵には出る時間のみ伝える様にする。
作戦は夜の闇に乗じて移動し、夜明けと同時に行動開始となった。
それぞれが準備を始めようとした時に、気絶していたエミリオ殿下が目を覚ました。
「はっ‼ここはいったい!」
キョロキョロしながら辺りを見回して、自分がいる場所を思い出した。
「レイティア!いや違うなレナードか?何でそんな格好をしてるんだ??」
「砦に戻る時の作戦だったでしょう!」
間抜けな質問をしている息子を見て、陛下は頭を押えタメ息をつく。
「何を詰めて入るんだ?」
そう呟くと、レナードの胸を鷲掴む。
「殿下…。だから貴方は女性に嫌われるんですよ!!!!」
そう怒鳴ると物凄いショックを受けた顔をしたが、自業自得だろう。
「彼女の胸を触り、今度は隊長ですか…。懲りませんね殿下も」
口調は普通だが目が笑ってないザガートに、引きずられるように部屋を出ていった。
「タナークに向かうのなら、隊長は本来の姿に戻って頂いて構いません」
「ああ、戻って問題無さそうだな。大変な任務になると思うが宜しく頼む」
「大丈夫ですよ。それに私だって剣や魔法を使えます。貴方の足手まといにはなりませんよ」
安心して下さいと笑う。
「ウィル、頼りにしてるぞ」
「任せて下さい。褒美はレイティアのキスか、デートでお願いしますね」
「却下!」
そう言いながら、自室に準備をする為に戻っていった。
「ウィリアム、頼むぞ」
「分かってますよ。ただイルミオには、ラシア城を炎上させた反省はして頂きますからね」
私の研究資料を燃やした責任は重罪です‼と拳を握りしめて言い放つ。
「それは分かったが、彼女とはどんな感じなんだ?」
「兄上!?何をいきなり言い出すんですか?」
「愛しているのだろう?」
ビックリしすぎて、ゴホゴホと咳き込む。
「何故!それを!!」
「見てれば分かる。家柄も問題無いのだ、この騒動が治まったら私も力添えすりから婚約したらどうだ?」
「自分の力で振り向かせなければ意味が無いので、陛下のお力は借りません」
では失礼しますと、部屋を出ていく弟を見送る。
「本当に、愛しているんだな」
微笑ましく思い笑ったのだった。




