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⑳

作戦まで各々が休憩をとっていた。

自室にて仮眠を取ろうとしていると、部屋をノックされた。

妹の振りをしなくても良くなったので、普通に対応する。

「誰だ?」

「ザガートです。お願いしたい事が有るので開けてもらって良いですが?」

鍵を開けザガートを部屋の中に入れる。

「どうした?作戦の事か?」

「いえ、別な事で…」

ザガートにしては歯切れが悪く、中々言わない。

「なんだ?早く言え」

「レイティアの事です。彼女を守るためとは言え泣かせてしまいました」

だから謝りたいので、騒動が終わったら会わせて下さいとのお願いだった。

「泣かせた事は気にしなくて良いと思うぞ?それに会うか会わないかは妹次第だ」

「分かってます。ですが兄である貴方から口添えして貰いたいんです」

「作戦が終わったら、考えてやる。だから今は目の前の事に集中しろ‼」


ザガートを追い出し仮眠しようとすると、またノックされる。

イライラしながら、今度は誰だと思い、外に出ると陛下だった。

「大変、失礼致しました」

頭を下げると、気にしなくて良いと言われた。

「休む時間にすまないが、頼みたくてな」

謀反を起こしたが、やはり自分の息子だ。

人質にとられタナークに来るようなら助けてやって欲しいとの願いだった。

「畏まりました。元よりそのつもりです」

「頼んだぞ。ああ、後これを渡しておく」

陛下に渡されたのは手のひらサイズの水晶だった。

「私の光魔法の力を封じ込めた物になる。使い方は割れば発動するように念をかけてある。必要な時が来ると思い用意した」

光魔法は攻撃力が高い分、必要とされる魔法力が多いゆえに、連発が難しい魔法なのだ。

「ありがとうございます。陛下これは私でも作ることは可能でしょうか?」

「可能だが、魔法を使うのと同じくらい力を使うぞ?」

小さい物なら今から作成可能の様だったので教えてもらいながら作った。

「これは危険な物でもある」

悪人に作り方が渡れば脅威になるものだから、決して人に作り方を教えてはならないと言われた。

「レナード、君なら教えて大丈夫だと思ったから教えたのだから、信用を裏切らないでくれよ」

「無論です‼」


陛下が出て行った後、少しだけ仮眠をして準備に取り掛かる。

レナードに戻って良いのならと、普段の隊服を着ようと手を伸ばした時に、ウィルが部屋をノックしてきた。

「服をお持ちしました」

上着を軽く羽織ると鍵を開ける。

「別に普通の隊服で構わないだろう?」

「駄目です。こちらを着て下さい」

ウィルが差し出してきたのは、漆黒に染まっている服だった。

「呪術や魔物擬きは闇属性ですから、私の魔力を込めて防御力を高めました」

「そうなのか?ありがとう」

「礼には及びません!抱き締めて寝ただけですから!」

フフフッ…と変な笑いをしながら踊っている。

何だろう、突き返したい…。

「これで何かあったとしても呪術は掛かりにくなります」

そう言われれば仕方無い、ちょっと気持ち悪いが着ることにした。

「そうだ。かわりにこれを渡しておく。割れば光魔法が使えるようにしといた」

陛下に教わった光の玉をウィルに渡す。

「これは兄上が作り出した物ですか?」

「陛下に教わったが、私が作ったやつになる」

クルクルと回しながら見ている。

「ザガートやエミリオにも渡したんですか?」

「いや、1つだけしか作れてないからウィルだけだが、ザガートとかにも作った方が良かったか?」

作らなくて良いですと、鼻歌を歌い始めポケットに仕舞った。

「じゃあ、着替えるから出て行ってくれ」

「手伝いましょうか?」

いらないから出て行け!と追い出した。

ウィルが持って来た服を着ると、確かに魔力を纏っているのが分かった。


すべての準備を終え、執務室に戻るとエミリオ殿下とウィル以外が揃っていた。

「隊長、兵の準備は整ってます」

「ウィルとエミリオ殿下は?」

ウィルは闇魔法を使って敵から見えなくなる魔法をかけ、エミリオ殿下は兵に指示を出していると説明された。

いつでも出発可能だと言う。

「陛下、出発の合図をお願いします」

「全軍出発!全員無事に戻って来い」

「「「ハッ!」」」


第1陣は王宮に向かう隊だ。

「陛下、王都奪還はお願いします!ルドラ大将軍、陛下の補佐を頼みます」

「任せろ!レナード隊長、タナークの事は任せるぞ‼」

「では行くぞ。王都部隊、進軍!」

陛下の号令で馬が走り出す。

それを見送った後、第2陣のタナークの部隊だ。

「カイル、エミリオ殿下と砦を頼むぞ」

「はい!今度こそ完璧に守って見せます」

「私もいるから安心しろ」

エミリオ殿下とカイルに砦を任せて、進軍の号令をだす。

「タナークまでは距離が遠い、スピードが大事だ。迅速に行くぞ。全軍付いて来い‼」


走り出し暫くたった頃、ウィルが声を掛けて来た。

「隊長、服の調子はいかがですか?」

「魔力が込められているのが分かるが、何かあるのか?」

「魔力を込めたのは初めてですし、隊長は光属性の力ですから、不具合が無いか気になりまして」

実験もしていない状態だから、気分が悪くなったりしてないか気にしてくれた様だ。

「問題ない。相性は悪く無いし、むしろ着心地は良いと思うぞ?」

そう答えると、機嫌が良くなっていく。

「そうですか、なら良かったです」


ウィルと話していると、ザガートが伝令が入ったと言いに来た。

「タナーク地方に向け進軍したと伝令がありました。また王都では、陛下達が交戦し始めた模様です」

敵はタナーク地方に、こちらが居るとは思ってないようだ。


急いで合流するであろう地点に向かい布陣をしく。

「ギリギリまで隠れて応戦する。みな気を引き締めろ‼」

相手が来るのを静かに待つのであった…





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