外伝① 初めて出会った日
レイティアと初めて会った時の話になります。
~~~ザガート編~~~
初めて彼女に会ったのは、腰痛の父に代わって第3王子のお披露目に出席した時だった。
ミルジュ侯爵夫人がレナード隊長では無く、令嬢を連れて歩いているのが見えたので挨拶をしながら、興味本位で見てみようと思い近付いて行った。
夫人と話をしながら目線を向けると、隊長に似てはいるが、愛らしく美しい女性だった。
チラチラ見ていたのを気付かれたのか夫人が紹介してくる。
「もしかして、レナードに見えまして?この子は双子の妹でレイティアですわ」
そんな事はありませんよと、姫に挨拶をして手の甲にキスをすると、頬を染めながら姫も挨拶をしてくれた。
確かに双子なので似ているが、瞳の感じが全然違った。
それを言うと夫人に姫のエスコートを頼まれた。
舞踏会が初めてと言う姫は緊張していたが、それさえも初々しく感じられた。
普段、言い寄ってくる女性達と違って内容の無い話はせず、知性的な話をしてくる姫だった。
自分も女性が聞いたら飽きると思われる話をしてしまったが、真剣に話を聞いてくれた。
こんな女性は初めてで、容姿も性格も自分の好みにピッタリだった。
飲み物を取りに行こうと姫の側を離れると、男性に囲まれてしまった。
強引に手を掴む奴もいて、姫が青くなって、か細い声で「放して下さい」と言っているのが聞こえたので、すぐ戻り自分が凄むと男達は散って行った。
「踊って頂けますか?」
そう聞くと「ダンスが苦手で」と最初は断れたが、エスコートすると言うとそれならと頷いてくれた。
そこで、お互いを知るために手紙のやり取りをする事を許可して貰った。
これを足掛かりにして、もっと仲良くなれればと考えていると、エミリオ殿下が近寄ってきた。
エミリオ殿下はレイティアをあろうことかレナードと間違えただけで無く、胸を鷲掴みしたのだ。
触られたショックで声も出せない彼女を、殿下から離す為に抱きしめたのだが、柔らかくって良い匂いがした。
彼女の事を婚約者と言ってしまったが、いずれそうなれば良いなと思っているので問題ないだろう。
その直後、魔物が現れて広間は混乱に陥ったが、怯えるでも無く騎士達を手助けしようと頑張る姿に惚れ直してしまった。
ミルジュ侯爵夫人は交際に反対では無いみたいなので、彼女を振り向かせる為に手紙を書こうと決意した……
◇◇◇◇◇◇◇
~~~ウィル編~~~
少年が足を怪我をして動けないでいた。
父や兄の狩猟に我が儘を言って付いて来たのに、獲物を追うのに夢中で崖から落ちてしまった。
落ちた時に足を捻ったのか痛みで立てなかった。
しばらくすると、1人の幼い少女が寄ってきた。
「どうしたの?けがしてるの?」
気付いて無かったが顔も擦り傷があったらしく、少女が手を伸ばして顔に触れた。
自分のミスではあるが悔しいやら腑甲斐無いやら苛立っていて、少女の手を振り払ってしまった。
「触るな!!」
少女は驚いたように目を丸くしたあと、走り出して行った。
悪い事をしたと思いつつも、頼んで無いのに来た方が悪いと開き直った。
それから少し時間がたった時、先程の少女が戻って来た。
手にはバスケットが握られている。
「おくすりもってきたよ?」
こちらが返事をしてないのに、傷薬をとり出し塗ろうとしてきた。
「私に触るな!」
そう言い手を振り払おうとすると、両手で頬を挟まれ怒られた。
「だめなんだよ?ばいきん、はいったらたいへんでしょ!」
そう言って消毒を始めた。
こちらがいくら文句を言っても少女は手を止め無かったのでスキにさせていた。
傷薬を塗り終える頃になって、足が捻挫してるのに気が付いたみたいだった。
「あしも、いたいの?」
文句を言われても泣きもしなかったのに、傷や捻挫をしている私の事を見て可哀想だと泣きはじめた。
泣きながら少女は腫れている足に手を当て呪文を唱えると、小さな手の平から光が生まれ、足の腫れが治っていく。
「いたいのなおった?」
「ああ、だいぶ良くなった。ありがとう」
礼を言うと、ようやく少女は笑顔を見せる。
「どういたしまして。でも、ほんとうは、まほうをつかってダメっていわれてるからナイショね?」
口元に指を一本立てて内緒だと笑う。
少女の手当てが終わった頃に、自分が見えなくなった事に気付いた大人達が探しに来た。
少女も大人が来たことでホッとした様だった。
「あのね、おなかがすいてると、イライラするんだよ?だから、これたべて」
サンドイッチが入ったバスケットを手渡してくる。
名前を聞くのを忘れていた事に気付き顔を上げたのだが、もう少女の姿は無かった。
それから数年経ち再会するが相手は覚えていなかった。
あの時の恩を返す為に側で見守る事にするが、美しく成長した彼女に色々な男性が寄ってく。
ウィルも負けじと、争奪戦に参戦する事になる………
本編は明日位に更新予定。




