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最後に見た通知  作者: 月光
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4/5

幸せそうに見せてただけだった。

「君は幸せそうに見せるのは上手だった。でも、幸せになるのは下手になってた。」

彼の一言で、私は初めて自分を見つめ直した――。


「君に、気づいてほしかったんだ。」


彼はそう言って、

少しだけ笑った。


私は何も言えなかった。


彼は責めるような口調ではなく、

静かに話し始めた。


「最初はね。」


「写真撮るの好きなんだなって思ってた。」


「思い出を残したい人なんだって。」


私は小さく頷く。


それは本当だった。


最初は。


「でも。」


彼は少しだけ目を伏せた。


「途中から変わった。」


「変わった?」


「うん。」


「写真を撮るために出かけるようになった。」


「投稿するためにご飯を選ぶようになった。」


「綺麗な景色を見ても。」


「最初に見るのは景色じゃなくて画面だった。」


私は言葉を失う。


全部。


その通りだった。


彼は続ける。


「一番悲しかったのはね。」


「君が笑わなくなったこと。」


「え…?」


思わず聞き返した。


「写真では笑ってた。」


「でも。」


「写真を撮り終わると、すぐ真顔に戻ってた。」


胸が締めつけられる。


そんなこと。


考えたこともなかった。


「投稿が伸びた日は嬉しそうだった。」


「でも。」


「伸びなかった日は、一日中落ち込んでた。」


私は俯く。


思い当たることしかない。


数字が気になって。


フォロワーが気になって。


誰かと比べて。


勝手に疲れて。


そんな毎日だった。


彼は少し笑う。


「君はさ。」


「幸せそうに見せるのは、すごく上手だった。」


その言葉に、

胸が痛くなる。


「でも。」


「幸せになるのは、下手になってた。」


その一言で。


涙がこぼれた。


私はずっと。


幸せになりたくてSNSを見ていた。


でも。


いつからか。


誰かより幸せに見えることばかり考えていた。


「ごめん…。」


小さな声でそう言うと。


彼は首を横に振った。


「謝ってほしかったんじゃない。」


「ただ。」


「もう一回、一緒に笑いたかった。」


その言葉を聞いた瞬間。


私は泣きながら笑っていた。


気づけば夕日が沈み始めていた。


私はポケットからスマホを取り出す。


画面には通知が何十件も並んでいる。


でも。


私はそのまま電源を切った。


彼が驚いた顔をする。


私は笑って言う。


「今日は。」


「もう見なくていい。」


「今は。」


「あなたを見ていたいから。」


彼は照れくさそうに笑った。


その笑顔を見た瞬間。


私は思った。


今日のこの景色は。


きっと写真に残すより。


心に残した方が、


ずっと綺麗なんだろう。






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