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姫守利子は既に楽園へ旅立った。その事実を告げた彼らも同じ場所へ向かわせようと、ニギルは装置の操作を始めた。
「いいかお前ら、子どもだからって油断するんじゃないぞ。油断して侵入されたんだからな」
二度目のミスは許さない。武器を持った部下に鋭い目付きで伝えていた。
「楽園に行った魂を呼び戻す方法はないのか?」
「ナグメサルから魂が戻って来たという話は聞いた事ないな。ただそういう世界が実在するという事実がある以上、戻って来た魂はあるんだろうけど…だけどねぇ、そこにいればずっと幸せなんだって。わざわざ戻す必要もあるのかなぁって。つまり怖いのは今だけだ。君達もすぐにそこで幸せになれるよ」
「お、俺は嫌だ!」
「男のくせにさっきから!ピーピーピーピーうるせえぞ!お仲間を見習ったらどうだ!最初に連れ出したあのガキなんて楽園に行ける事を心の底から喜んでたぞ!幸せになれるんだから感謝とかしたらどうだ!」
ニギルは苛立たせる相手には声を荒げる癖があるようだった。これで信参を怒鳴ったのは二度目だ。
だが先程と違い、信参は泣きながらも救いを懇願するのだった。
「お願いぢまづ!だづげでぐだづぁい!」
「耳障りだな…誰でもいい。適当に殴って黙らせろ。だけど殺すなよ。脳が売れなくなるからな」
そう命令されると、部下達は泣きじゃくる信参を掴んで壁際まで引っ張った。
「傷は最小限にな。値段が下がるから」
そう付け加えた直後、ドォォン!という人を殴ったにしては大きな衝撃音が響き渡り、僅かながら揺れも起こった。
「おぉっとっと…最小限って言っただろうが!」
融通が利かない部下に腹を立てたニギルは装置から手を離して振り向いた。
通路と部屋を隔てていた壁に大きな穴が開いていた。瓦礫を喰らったのか彼の部下達は全員倒れているが、信参だけはぶつからなかったのか、泣き止んで呆気に取られていた。
「誰だ!」
「いや~どうもどうも…あたしの可愛い可愛い部員がお世話になってます」
そして、開いた穴の向こう側に大人の女が立っていた。




