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龍ゐ寅ゑ!いけいけ奇才シンサくんD@YNA  作者: 仲居雅人


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@64

 ハブクは身体を捨てて楽園に発った。よほど人生が嫌だったのだろう。迷いは一切なかった。




 しかし信参はそんな事を知らないし、知ったところで何も変わらない。今はなんとか脱出しようと、生成した金属の棒で壁を削り続けていた。


「諦めろ。この壁、かなり厚そうだ」

「うるせえ!お前も十八番の魔法道具でなんとかしろ!」

「とっくにやったさ」


 優は諦めきったかのように落ち着いていて、喜美子に至ってはこの絶対的な危機の中で横になり眠っていた。


「くぅ…なんでこんな…」

「そう悲観するなよ。愛想よくしていれば無事に下船させてくれるかもしれないだろ」


 そう言われても信参の手は止まらない。

 ガリガリと壁を削る音だけが辺りに響いた。




 どれだけ時間が経ったか分からない頃、信参が握っていた棒が折れた。

 新しく棒を作ろうとするが、呆れた様子で優が止めた。


「やめておけよ。魔力の浪費だ」

「殺されるかもしれないのに何が浪費だ!こうなったら何がなんでも逃げ出してやるんだ!」

「逃げる事には私も賛成だ。だがもっと効率的にいこうじゃないか。今体力を使い果たして、いざチャンスが訪れた時に動けなければダメだろう?」

「…何か策でもあんのかよ」

「手は打った。後は待つだけだ」


 優は既に行動を終えていた。喜美子もただ寝ているのではなく、それを見越して体力を保持するための行動だった。


 優を信じるのは癪だが、信参だって命は惜しい。棒を作るのをやめると、楽な姿勢を取った。

 そして、ここから無事に脱出できた後の事を考えるのだった。

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