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ハブクが向かったのは楽園と呼ばれる世界。そこはアノレカディアでもなければ、信参達の暮らす世界でもない。
余計な肉体を持たない魂だけが入る事のできるナグメサルという、世界では言い表す事のできない空間だった。
そこに訪れた魂は癒しの光と慰めの闇を受けて幸福を見る事となる。そして長い年月を掛けて魂に宿した力をゼロにすると、また別の世界へ送られるのだ。
今回の人生では恵まれなかったハブクという少年だが、ある時は一つの国を創りあげた王、またある時は国を救った勇者としての一生を歩んでいた。その時に積んだ徳やハブクであった時に重ねた罪が魂から一片も残らず出ていくまで、このナグメサルで幸せに過ごすのだ。
ハブクはどんな幻を見るだろうか。きっと両親がいるだろう。恵まれた環境だろう。これまでの人生を思い起こさせるような場面は決して訪れないに違いない。そうでなければ、ハブクはドリームシップの中で真実を知った時点で取り乱していたはずだ。
楽園の真実を知らない信参は今も牢屋の中で嘆いていた。しかし身体を捨てるだけで幸せになれると知れば喜んで旅立つだろう。
残った身体は老い先短いご老体のために役立てられるのだ。肉体の持ち主もそれを購入した者も幸せになれる。これほど幸福な商売が地球上にあるだろうか。




