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ニギルに連れられ、楽園へと足を進めるハブク。このドリームシップで楽園という土地に向かうのではなく、船内を歩かされて楽園に向かっている事には、一つの疑問も抱かなかった。
「あー…招待した私が言うのもなんだが、疑わないのか?こんな窓一つない船内を歩かされて、怖い目に遭わされないのとか」
「楽園に連れて行ってくれるんでしょ?」
「まあ楽園には楽園なんだが…うん、騙すようで心苦しいな、いや苦しくはないか。君には特別に真実を見せてあげよう」
ニギルが通路の壁を叩く。すると何もなかった場所に扉が現れた。
「お先にどうぞ」
この部屋の中にある真実を目にして、この少年は逃げ出さずにいられるだろうか。逃走の可能性も考え、ハブクを先に進ませた。
「うわぁ~」
部屋の中にはガラス製の大きな筒が並んでいた。筒の中には様々な種類の人間が入っていた。
「これは商品だ。身体に不自由を感じたお年寄りのためのな。私はこの船にある装置で君の魂を楽園へと送る。それと引き換えに身体を提供してもらうというわけだ。ウィンウィンだろう?」
「うん、いいよ」
「いや迷わね~!もっと悩んだりしないの?」
「いいよ。だって俺、両親もいない貧乏人だし」
「そうかい。どこ出身だい?」
「ルカハ」
「あぁあそこぉ…気の毒に。そこはとっくの昔からジャガーノートのテリトリーだ。不平等になるようにシステムが組まれてる」
「それよりも早く楽園に送ってよ」
「はいはい分かりました」
ニギルはまだ使われていない空の筒を開けて、その中にハブクを立たせた。
「それじゃあおやすみなさい。そしていってらっしゃいな」
筒の中に、肉体を保存するための液体が流し込まれる。やがて筒の中は液で満杯になったが、既にハブクの魂はそこになかった。




