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牢屋に閉じ込められてしばらく。
泣き疲れた信参は眠ってしまいそうだったが、近付いてくる足音に嫌でも眠気を殺した。
「まさか侵入者が子どもとは…大人じゃなくて良かった。イレギュラーな乗客だが対応は変わらない。ようこそドリームシップへ。私は船長のニギル・セタケ。泣く子も黙るジャガーノートだ」
逆立った髪が特徴的な男が現れた。格子さえあればパンチを打てるのに、という悔しそうな表情をする喜美子を見て、ニギルはまるで汚い物を見たかのような反応をした。
「うわぁ品がない…やあ、若い以外に取り柄のない、家畜世代のおバカさん達」
「あなたは…見湖市で迷惑してる連中の一員だな。ジャガーノートの目的はなんだ。何故半グレ程度のやつらが警察を撒ける程の力を持っている」
「そっちの世界にいるのは下っ端。私はその下っ端を扱う下っ端の下っ端。つまり、何もよく分からないんだ。まあ言う通りにしてるだけで遊んで暮らしていける金が貰えるんだ。いい商売させてもらってるよ」
優の質問に答えると、ニギルはハブクに視線を向けた。
「君は前々からこの船に乗りたいと懇願していた子だね。ようこそドリームシップへ」
「お、俺!楽園に行きたいんだ!連れてってくれよ!」
「うーん、本来は高い料金を払って欲しいものだけど…オーケー、見事この船に侵入したご褒美として楽園に連れて行ってあげよう。君達はどうする?」
「やめとけって!」
「礼木の言う通りだ。甘い話には必ず裏がある」
「…」
「俺は行くよ!じゃあな皆!ここまで連れて来てくれてありがとう!」
信参達の制止も意味を成さず、ハブクは楽園に行く事を選んだ。
ニギルは格子を曲げてハブクが通れる程の隙間を作り、彼を引き出した。
「うあっと!」
「君達三人は…そうだな…うん、この子を楽園へ送ってから考えよう。それじゃあまた後で」
ハブクはニギルに引っ張られ、早速楽園へ旅立つ事となった。
もう彼と再会する事はない。信参はそう思った。




