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誰が見ても怪しく感じるドリームシップ。普通に乗船しようとすれば大金が必要となる。
しかしそこは魔法道具研究部。正攻法が無理なら自分達の開発した道具を使い、ドリームシップに侵入しようとしていた。
「侵入なんてやめようぜ!ドリームシップに姫守さんがいるか分からないのに、これでいなかったら俺達無賃乗船で捕まるじゃん!」
「未成年なのに運転や飲酒してるやつもいるんだぞ。それに比べたら無賃で船に乗るなんて威張れる事じゃないだろ」
「犯した罪で威張るつもりねえよ!不良じゃないんだから!」
魔法道具研究部の三人は暗闇の中に溶け込める服に着替えていた。
二人を待つことなく廃屋の外で着替える信参だが、当然任意ではなく指輪の力に脅されてのことだった。
「兄ちゃん筋肉すげえな。もしかして不良?」
「だから不良じゃないって!」
しばらくして分厚い服を着た優と喜美子が廃屋から現れた。
「っておい!なんで俺はピチピチの全身タイツなのにお前らそんな頑丈そうな服なんだよ!」
「そんな身体のラインが出てしまう品のない服、女子の私達が着るわけないだろ」
「その品のない服を俺は着てるんだよ!」
海の方へ近付くと、まず一番運動神経の良い喜美子が音を立てないように入水した。
「古典的な侵入方法だこと…」
優から渡された魔法道具を両手、両脛に装着した喜美子は、ドリームシップの船底からまるでヤモリのように登っていく。平らで安定した場所に立つと、背負っていた魔法道具を降ろして起動した。
「ジップラインみたいだな…」
発射地点から地上にいる優達の元へ紐が伸びる。喜美子が言った通りまるでジップラインのワイヤーのようだが、人の乗る場所もなければそもそも目的地は上の方だった。
「登るぞ」
「登るぞって…人力でか?!座るやつは?!」
「あるにはあるが侵入するんだ。音が出ては見つかってしまう」
そう言うと優は雲梯のように紐を伝ってドリームシップへ侵入。それに続いて、信参とハブクも船を目指して移動した。




