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港を中心に広がる小さな町。かつてはノセルという名前があり漁師達で賑わっていたが今はその面影もない。町に残る建物のほとんどが廃屋で、港に船が来るのも不定期だった。
「生きた住民より幽霊の方が多そうなところにドリームシップが停まっているなんてねぇ」
ハブクは集めたお金の入った巾着を持って、船に続くスロープの前に立つ男の元へ向かった。
「またお前か…金がないと乗せないって言ってるだろ」
「増やしたよほらぁ!見てってばさ!」
「あぁん?………円はナロにして来い。それにざっと計算したがこんなんじゃ乗せてやれねえよ。ほら帰った帰った」
ドリームシップという船のスタッフにしては言動が荒々しい。いかにも悪い奴という雰囲気を優達は疑った。
「お、おいどうすんだよ」
「まずは話を聞いてくる…いやそうだ、礼木、せっかくだからお前が尋ねてみろ」
「怖いからって俺に押し付けんな!」
「そうじゃない。依頼のためには見ず知らずの人と話す必要が出てくる。ヤバそうになったらフォローしに行くから」
「ほら、行って来い!」
「あぁ!?」
信参は喜美子に掴まれ、スロープの前まで投げ飛ばされた。
「いってって…」
「なんだこいつ?!…お前も乗船希望か?乗るには最低でも10万ナロは納めてもらうぞ」
「高ッ!…じゃなくて人を捜してるんです。最近、高校生の女の子がここに来ませんでしたか?」
「チッ………知らねえな」
その反応を見て、知っているだろうというのが信参の考えだった。彼は門前払いされたハブクと共に一度船の前から離れる事にした。




