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ドリームシップの停泊する港を目指して歩く信参、優、喜美子、ハブクの4名。
その前を飛ぶ紙飛行機はブレる事なく真っ直ぐに飛び続けている。
「磯の香り…海はもうすぐだ」
万が一に備え、優は対人用の魔法道具を確認した。
喜美子も軽く動いて、武器となる自身の身体を温める。
しかし信参にはそれといった能力もなく、この先トラブルが起こらないように祈るしかなかった。
「兄ちゃん温室育ちなんだね。そっちの世界は生温いんだろうけどアノレカディアじゃ弱肉強食だよ」
「弱肉強食ってそんな野生じゃないんだから…」
「強い奴が上に立って、俺みたいな弱い奴はそういう連中に搾取される。その点は同じだろ?」
「そういう難しい話はちょっと、分からないかな…」
まだ信参よりも若く、本来なら小学校に通っているであろう年齢のハブク。そんな子どもの見る世界がそこまで醜く、それもハッキリしているとはなんと哀れだろうか。
「難しくないよ!兄ちゃん馬鹿なの?」
(学校に通えなかったらこんな風に尖ってたのかな…)
進み続けると何よりも先に、大きな船体が見えてきた。
「あれがドリームシップ…紙に描かれてたイラストと全然違うじゃん」
船のスポットライトから放つ光によって海は虹色に、港と小さな町はネオン街のように彩られていた。




