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カラガホオオイケネコから信参達を助けた盗人の子ども。彼は助けた見返りとして金を寄越せと手を差し出した。
「悪いが手持ちには円しかないぞ」
「部長!?助けてもらったとはいえこいつ泥棒ですよ!助けてもらった礼はさっきの悪事を許すとかでいいんですよ!」
「盗まれそうにはなったが手紙はこちらにある。それに命を救われた以上、ちゃんとお礼はしておかないとだろう」
すると優は、信参の財布に入っていた日本円を全て子どもに渡した。
「えぇ~これだけ?」
「これだけみたいだよぉ。悪いねぇ」
「おい!?謝礼するにしてもなんで俺だけなんだよ!三人助けられたんだから割り勘だろ普通!」
「男なんだからそう細かい事を一々気にするな。円だからナロに変えてもらうのを忘れずにな」
子どもは貰った金を巾着の中に入れた。
「お金集めてるのか?何か買いたい物があるなら親に頼めばいいじゃないか」
「お父さんもお母さんも病気で死んじゃったんだ」
「そうか…悪い質問だったね」
「気にしなくていいよ」
用を済ませた子どもはその場を去ろうとする。
見送る前に、優は利子に関わる手掛かりは掴めないものかとダメ元で尋ねた。
「家出した人を捜してるんだ。この国でそういう人が行きそうな場所に心当たりはないか?」
「家出…家出って何?」
「家出っていうのは…家族と喧嘩したりとか、居づらくなった人が家から出ていく事だ」
「変なの。せっかくいる家族と離れるなんて…ドリームシップだと思うよ」
「ドリームシップ?」
聞き慣れない単語が出てきた。もしかしたら利子はそこへ向かったのかもしれない。
どうでもいいが、ダメ元でもやってみるものだと優は改めて挑戦する事の大切さを実感した。




