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信参の魔法によってとても大きな金属の塊が出現した。自分達を追って来るカラガホオオイケネコはこれに勢いよく頭をぶつけて気絶し、その間に逃げるという算段だった。
「バシャァ!」
しかし猫は金属を喰い破った。信参の魔法では足を止める事すら出来なかったのだ。
「何やってるんだい!」
呆れと怒りの混ざった声をあげる優。すると遠くにある物体を掴み寄せる魔法道具を向けて、猫に跳ねられそうになっていた信参を引き寄せた。
「く!苦しい!」
「我慢しろ!人に向けて撃つもんじゃないんだから!」
追われているという事に変わりはない。このままでは捕まってしまうのも時間の問題だ。
「目を閉じてそのまま走り続けろ!」
声がすると三人は言われた通りに目を閉じた。
向かう先に球状の物体が転がり込み、先頭を走っていた優は気付かずにそれを踏んだ。
「な、なんて強烈な匂いだ…!」
「目を開けるな!沁みるぞ!」
強烈な匂い。そして毒々しい色の煙が立ち込める。
優達は声のおかげでなんとかその場を突破できたが、嗅覚の強い猫はその場で転げ回り、獲物を追うどころではなくなってしまった。
猫から離れた場所まで逃げた優達はそこでようやく目を開けて、自分達を助けてくれた人物と対面を果たした。
「おや、君は…」
「助けてあげたんだから、お金頂戴!」
その人物はルカハで紙飛行機を盗み売ろうとしていたあの子どもだった。




