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スチームロックスの中から大きな獣が現れた。
アーモニカで発見済みの魔物は全て頭の中に叩きこんでいる優もその獣を見るのは初めてで、逃げながらもスマホを向ける。カメラで撮った物すら検索できるとはいい時代である。
「この獣はなんて言うんだ?!アーモニカに生息するものなのか?!」
「写真に映っているのはカラガホオオイケネコです。カラガホ水国以外では確認されてなく、テイマーが捨てたか迷い込んだ可能性があります。お近くのギルドの電話番号は──」
「どこだいカラガホって!?」
AIによる読み上げを止めると、優は逃げる事に集中した。
「カラガホとはここより──」
「うるさいよ!おだまり!」
「…りんご」
「誰がしりとりしたいって言った!?」
「部長!今はスマホじゃなくてあの猫をどうするかですよ!なんか使える魔法道具ないんですか!?」
「ない!武器は対人用の物しか持って来てないんだ!」
「こうなったら…」
「死ぬぞ礼木!勘違いしてるみたいだから言っておくが、私達三人で挑んだところであの猫に勝てる見込みはない!ゲームで例えればイベントで無惨に殺されるモブ!その程度の力しかないんだからな!君の鉄板なんて障子みたいに破られてしまうぞ!」
優の言う事は聞かないのが信参という男だ。自分の魔法を批判されると彼は足を止めて猫の方を向いた。
「何を考えてる!?」
「シークレットじゃないけど金属なんだ…炎とか水とか、そんなありふれたやつより俺の魔法は強いんだ!」
そして警告に背いた信参は、猫の道を塞ぐ程の巨大な金属を発生させた。




