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テロリスト編 城島円華視点 後編

教室に取り残された私は、周りを見てみることにした。


他のみんなに話しかけたりするけど、みんな動かない。


七女君達が妄想で作ったクラスのみんなだから、二人が動かそうと思わないと動かないのかな?



私もみんなの事を妄想すれば動かせる…って事かな?


静玖は……いないのかぁ。

試しに先生を妄想で動かしてみよっと。


先生、起立っ!



おぉ!先生が本当にたった!



なんとなくわかったかも!!


なんか私、超能力使ってるみたい!


えい!!


試しに壁に寄せてあった机を1つ宙に浮かせてみた。


おぉ~浮くねぇ~♪



これが七女君達の妄想の中なのか、それとも私の夢なのかわからないけど、私もやりたいようにやれるって事ね。


でも……さっき、テロリストが教室の前から入ってくるって思ったら本当に来ちゃったし、やっぱり私の夢って事かな??



机を動かしたりして少し遊んでいたら、突然教室のドアが空いてテロリスト3人組が現れた。


え?何?私別にテロリストを呼んでないんだけど。 

なんで?


テロリストは鉄砲をこっちに向けている。


ま、いっか!

よーし、超能力で投げてしまおう!


夢だから死んだりしないよね?


とぉりゃーーー!


でりゃぁーーーー!


うおーーー!!



テロリスト達は壁や黒板にぶつかって倒れた。




「うおーーーテロリスト共、許さんぞーー!!卓やんの仇ぃぃーー!!」


叫び声と共に教室の後ろのドアが勢いよく開けられた。


私はビクッとしたあとに、ゆっくりと声の方を振り向いた。


「あれ?城島、どったの?」


入野君がポカンとしている。


「こ、こんにちは……入野君」



今まで起こった事を全部入野君に話した。

静玖との電話の事とか、その後の考え事とか、いつの間にか学校にいた事とか、七女君の事とか…



「ふーーん。そういう事ねー」


入野君、本当にわかってるのかな?


「となると、これは俺とソーシの妄想が交じったやつだと思ってたけど、城島の妄想も交じってるって事ね」


「あるいは私は自分の夢なんだと思ってたけど」


「うーん、俺の中ではここは半分くらいは俺の妄想なんだけどなぁー」


「七女君が倒したのは私が考えたテロリストかも」


「あ、やっぱそう?」


「逆にさっきの3人のテロリストは?」


「俺が教室のみんなを守るために教室に入れた奴らだよ。城島に倒されてたけどww」


「じゃあ、やっぱりここってみんなの妄想がごちゃ混ぜになってる?だとしたら、どうやったら帰れるんだろ?」


「俺らもこんな事初めてだからなー、どうやったら終わるかわかんねーべ」


「俺はテロリスト全滅させてボス倒したら満足だかんなー」


「ソーシはあとで戻ってきて、話しがあるって言ってたんだよな?なら、それ言った終わりなんじゃね?」



「じゃあ私は?」


「うーん、なんだろね?」


「えぇ…」


「城島はどうなの?」


「どうなの?って…何が?」


「ソーシの事。好きなん?嫌いなん?」


「えぇ!いや、そんなんわかんないよ。偶然七女君の事考えてただけだし、そのせいで意識しちゃってるだけかもだし…」


なんだか混乱していた。だってそもそもあんまり喋った事もないんだし。

付き合う前に遊びに行ったりしないと、どんな人かわかんないじゃん…


 

「でもあいつ、いいやつだぜ?」


入野君が真剣な顔で言った。


「高校入ってからあいつと親友だけど、あいついいやつなんだよ。アホなんだけどしっかりしてんだよ。多分城島の事も本気で好きだし、大切にしてくれると思うぜ?城島にならソーシを嫁にやれるぜ、俺は!」


「アハハ、何それ?何で七女君がお嫁さんなのw」


「あいつはこんな妄想の中じゃねーと城島にめんと向かって告白できねー根性無しだけどさ、きっとあいつ真剣だったろ?」


……それは…


「ここの妄想の世界ってさ、普段誰にも言えないような……心臓…しん……」


「深層心理?」


「そう!多分それ!!どんなヤベー状況でも城島の事を守りてぇーって。好きだ!!って気持ちがあいつの根っこにあるって事じゃねぇかな?」


入野君は眉間にシワを寄せながら続けた。


「あいつにはまだリアルで直接告白する勇気はねぇ。でも城島は、嘘とか全然ついてねぇソーシの本気の気持ちを知っちまったんだろ?なんていうか……あーーダメだ!うまく言葉に出来ねぇ!すまん!あとは自分で考えてくれ!」


「えぇ~!!終わり方、雑~w」



入野君は立ち上がりながら言った。


「あっ!あいつにあとでここに戻ってくるように言っとくから!」


そう言って、また卓やんの仇をとると廊下に消えていった。



しばらくぼーーーっと考えた。

考えたけど全然気持ちの整理はついてなかった。



だって七女君は私の事をよく知らないはずだし、

私だって七女君の事をよく知らない。



普通はデートを重ねて決めるんだ。

本当のお互いを知ってから、それから付き合うかどうかを決めるんだよ。



七女君の好きは「理想の私」へ向けたものなんだよ。


ちゃんと「本当の私」を知ってから、好きって言ってほしい。



超能力で教室の中をふわふわ浮いていたら、廊下からこちらに走ってくる足音が聞こえた。



これ多分、さっき入野君の言ってた七女君じゃない?



やばっ!教室片付けてない!!

考えまとまってないから、このままバレずに乗り切ろう!!



慌てて教室を超能力で片付け、先生にも着席してもらい、私は元の位置に戻った。



七女君は教室に入ってきて、少し首を傾げた。


大丈夫、きっとバレてないバレてない。



何か納得したようでこちらに近づいてきた。



私は考えた。

戻ってきた七女君が何て言うんだろう?



「心配かけさせて悪かったな」


「な、七女君…」


「さっき約束してたよな?戻ってきたら聞いてもらいたいことがあるって。俺、城島円華さんの事が好きです!」


「ふふふ、七女君、それさっき聞いたよ?」


「あはは、だよなー。いやー教室出てからキメゼリフをミスったよなーって思ったんだよ。俺アドリブ苦手だからさ。城島さんに告白の練習の妄想は何度もやってんだけどね。今回はリッチーのせいで予定狂っちまったわ!あいつぜってー後で殺す!…まぁ、こういうエンディングも悪くねーかもな」


「でも嬉しい。こんなにストレートに好きって言われたのは初めてかな。しかも2回もw」



まだデートなんて1回もしてないけど…


私は妄想の中で「本当の七女君」を見た気がした。



「本当の私」を七女君はまだ知らないけど…… 


きっと七女君ならこれから「本当の私」の事を知っても受け入れてくれて、それでも好きって言ってくれる気がした……


 

私は七女君の手を取ってついて行く事にした。








……なんかすっごいリアルな夢を見たなぁ…



なんか恥ずかしくてこの夢は静玖には言えないかも。



学校の下駄箱で入野君と会った。


「ういっすー、城島~」


「おはよう、入野君」



それから入野君はキョロキョロと周りを確認して小声で話しかけてきた。


「昨日のアレ、俺らだけの内緒な?」



えっ!?



あれ、夢じゃなかったの?


てことはてことは…

どういう事??


頭の中に昨日考えた事が一気に押し寄せてきた。


どうしようどうしよう?


徐々に体に気持ちが追いついてきた。

一気に顔が赤くなるのがわかった。


教室についてからもどうしようとずっと考えた。



少しして七女君が登校してきた。

全然何事も無かったみたいに入野君達と話している。


もしかして七女君だけ覚えてないのかな?


何それ?そういうのズルくない?

舞い上がったの私だけなの?



入野君がこちらを一瞬みて頷いた。

彼なりの合図なんだろう。


なるほど。そういう事ね!



七女君も覚えている!!



でも昨日の事は覚えていても、多分七女君の中では私は妄想の中で作った人形だと思ってる??




いやいやいや、そんなのは許せない!


七女君、覚悟しなさい!

何事も無かった振りなんかさせてやるもんですか。

朝からパニクった私の気持ちを味わいなさい!



私のイタズラごころに火がついた!!


私は七女君をじーっと見つめ、彼がこっちを見るのを待った。


キタッ!!


七女君がさりげなく私の方を見た瞬間を見逃さずしっかりと目を合わせた。


私はわざと一瞬目を逸らして、照れた感じであざと~く上目遣いをしながら七女君を見つめた。



七女君の目が少し泳いでるw


昨日の今日で、七女君も私の反応がおかしいって絶対思ってるはず!



昨日恥ずかしげもなく、私の前でシャドー告白をしたこと!


しかも間違ってセリフを言い直した事!!


もったいぶって後から大事な話があるって言ったのに結局また同じ告白をした事!!!



思い出させてあげるわ!!



私は……ゆっくりと、意味深に、昨日七女君にキスをされたおでこを、指でつついてみせた。



入野君の机にお尻を乗せて座っていた七女君が勢いよく立ち上がったw


焦ってる焦ってるww



私と、入野君を交互に三度見してから、入野君の方を見て、何か話をした。


一気に顔が赤くなっていくのがここからでもはっきりわかった。


そこから理解が追いついてきたみたいで、気を取り直して私の方へ歩いてくるのが見えた。




お読みいただきありがとうございます。


次回は6/6(土)の午前中に

続編の「ゾンビ編」もありますのでどうぞよろしくお願いします。

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