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プロローグ 星は丸く、さりとて海には果てあり
星は丸いということが、広く知られるようになって100年が過ぎた。さりとて未だ、海には果てがあった。
大陸の東に広がる大海。この向こうを探した者は、誰一人として帰らぬのだ。
古に、ある詩人が「オケアノス」と呼んだ最果ての海。
果ての滝に落ちて命を落とすとも、桃源郷が広がり、そこに留まって帰らぬとも言われる、その向こう。その真実を知らぬこの人類は、まだ星を知るものではなかった。
ある日、一隻の船が大陸の或る国の港に現れた。その船に乗った一人の男は、自らを果ての向こうより来た者と謳う。
その者はこう語った。
「海に果てはなし。海を分かつは巨人なり。人が霊長たることを阻む魔なり」
国王たる幸運王はその言葉を受け、世界周航の命を一人の男に与えた。
男の名はマゼラン。男はその命に対し、こう具申した。
「我々は西方へと進み、世界を巡って兵を集めます。そして、我等を阻みし巨人を討ち倒し、路を開いた後、果ての海より愛すべきこの地に帰還致します」
こうして男は、王国の粋を尽くして造られた四隻の船と、果てより来たりし一隻の船からなる船団を率い、西方へと出立した──
それから100年が過ぎても、海には変わらず果てがある。




