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光のしまなみ、夏のさざなみ  作者: 双鶴


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第59話 因島の夕暮れと、今日のゴールへ

生口橋を降りると、

因島の影がゆっくりと四人を包み込んだ。


ひよりが息を吐く。


「……夕方の島って、なんか落ち着くね」


悠斗が頷く。


「分かる。

 生口島の光とは全然違うわ。

 ここは“夕暮れの島”って感じや」


すずは静かに言った。


「……風、冷たい」


湊はその言葉に頷いた。


(夕方の風……

 今日が終わる合図みたいだ)


道はゆるやかに続き、

海は淡い青から灰色に変わりつつあった。



しばらく走ると、

ひよりがふと脚を止めた。


「……ちょっと、足が重くなってきたかも」


悠斗も苦笑する。


「俺もや。

 朝からずっと走っとるしな……」


すずは静かに言った。


「……手、またしびれてきた」


湊も正直に言った。


「僕も……

 ちょっと疲れてきた」


加藤先生が振り返る。


「因島は“今日の終盤”だ。

 疲れが出るのは当然だぞ。

 あと少しで宿に着く」


ひよりが小さく笑う。


「……その言葉、めっちゃ励みになる」


悠斗が言う。


「先生の“あと少し”は信用してええんよな?」


先生が笑う。


「今日は本当にあと少しだ」


すずがほっと息をついた。


「……よかった」


湊は胸の奥がじんわり温かくなる。


(みんな……

 本当に頑張ってる)



海沿いの道を走っていると、

夕日が島の影を長く伸ばしていた。


ひよりが言う。


「影が……すごく長いね」


悠斗が笑う。


「俺ら、旅してるって感じするな」


すずは静かに呟いた。


「……光、低い」


湊はその言葉に目を向けた。


(夕日が海に落ちて、

 島の影がゆっくり揺れている)


疲れているのに、

その景色は胸にしみた。



やがて、

小さな港町に入った。


加藤先生が言う。


「この先の民宿が今日の宿だ。

 夕飯の時間にも間に合うぞ」


ひよりが思わず声を上げる。


「やった……!」


悠斗が拳を握る。


「よっしゃあ!

 ついにゴールや!」


すずは静かに言った。


「……安心した」


湊は胸の奥がじんわり温かくなる。


(今日……

 本当に長かった)



民宿の前に着くと、

四人は自転車を降りて、

その場に座り込んだ。


ひよりが笑う。


「はぁ……

 やっと着いた……!」


悠斗が背中を伸ばす。


「脚が棒や……

 でも達成感やばいわ」


すずは静かに言った。


「……風、止まった」


湊は空を見上げた。


(夕暮れの空……

 今日の終わりを祝ってくれてるみたいだ)


加藤先生が言う。


「よく頑張ったな。

 今日はゆっくり休め。

 明日は向島を越えて、

 いよいよ“尾道”だ」


ひよりが目を輝かせる。


「尾道……!

 ついにゴールだね」


悠斗が笑う。


「明日も頑張るで!」


すずは静かに頷いた。


「……楽しみ」


湊は深く息を吸った。


(明日……

 しまなみ海道の最後の道を走るんだ)


四人は民宿の暖かい灯りの中へ入っていった。


今日の疲れと、

明日への期待を胸に抱きながら。


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