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光のしまなみ、夏のさざなみ  作者: 双鶴


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第50話 伯方島の海と、塩の匂い

大島大橋を渡り切ると、

空気がふっと変わった。


「……なんか、海の匂いが濃くなった気がする」

ひよりが深呼吸する。


悠斗が笑う。


「伯方島って“塩の島”やろ?

 そら匂いも濃くなるわな!」


すずは静かに海を見つめた。


「……光が、白い」


湊はその言葉に頷いた。


(確かに……

 大島の海より、少し明るい)


伯方島の海は、

透明度が高く、

浅瀬はエメラルド色に近かった。


午後の光が海に落ちて、

白い線のように揺れている。


加藤先生が言う。


「伯方島は“海の色が変わる島”だ。

 潮の流れが穏やかで、光がよく入る」


ひよりが目を輝かせる。


「ほんとだ……

 なんか、海が柔らかい色してる」


悠斗が言う。


「大島とは全然違うな。

 島ごとに海の顔が違うんや」


すずは静かに呟いた。


「……風も、甘い」


湊は胸の奥がじんわり温かくなる。


(しまなみの海って……

 本当に表情が多い)



しばらく走ると、

小さな港町に出た。


漁船がゆっくり揺れ、

港の奥には古い倉庫が並んでいる。


ひよりが言う。


「なんか……

 “島の生活”って感じするね」


悠斗が港を見ながら言う。


「観光地って感じじゃなくて、

 普通に人が暮らしとるんやな」


すずは静かに港の水面を見つめた。


「……音が優しい」


湊はその言葉に耳を澄ませた。


(確かに……

 波の音が柔らかい)


大島の荒々しい潮流とは違い、

伯方島の港は静かで穏やかだった。


加藤先生が言う。


「伯方島は“生活の島”だ。

 観光地というより、

 海と一緒に暮らす島だな」


ひよりが笑う。


「写真、いっぱい撮りたくなるね」


悠斗が言う。


「港の写真って、なんかエモいよな」


すずは静かにカメラを構えた。


「……光、きれい」


湊もカメラを構えた。


(この静けさ……

 写真に残したい)


シャッターの音が、

港の空気に溶けていった。



少し休憩したあと、

四人は再び自転車にまたがった。


ひよりが地図を見ながら言う。


「この先に“伯方ビーチ”があるみたい。

 すごくきれいな海らしいよ」


悠斗が目を輝かせる。


「ビーチ!?

 行くしかないやろ!」


すずは静かに頷いた。


「……海、見たい」


湊は胸が高鳴った。


(伯方島の海……

 どんな色なんだろう)


加藤先生が言う。


「伯方ビーチは“しまなみで一番透明な海”だ。

 午後の光が入る今がベストタイムだぞ」


ひよりが笑う。


「じゃあ……行こっか!」


悠斗が元気よく返す。


「よっしゃ、ビーチや!」


すずは静かにペダルを踏み出した。


「……風、冷たくなってきた」


湊は海を見ながら思った。


(島が変わると、

 海も、風も、光も変わる)


四人は海沿いの道を進み、

伯方ビーチへ向かっていった。


夏の光が、

次の景色を照らしていた。


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