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光のしまなみ、夏のさざなみ  作者: 双鶴


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第45話 サンライズ糸山と、しまなみ海道のスタート

サンライズ糸山の駐車場に着くと、

海の匂いがふわりと漂ってきた。


「うわ……海、近っ」

悠斗が思わず声を上げる。


ひよりが目を輝かせる。


「夏の海って、なんか“光が強い”よね」


すずは静かに海を見つめた。


「……風、あったかい」


湊は胸の奥がじんわり熱くなるのを感じた。


(ここから……しまなみが始まるんだ)


加藤先生がトラックの荷台を開ける。


「よし、まずは自転車を降ろすぞ。

 ここが“しまなみ海道のスタート地点”だ」


四人は順番に自転車を降ろし、

タイヤの空気、ブレーキ、チェーンを確認していく。


「湊、空気圧OK?」

「うん、大丈夫」


「悠斗くん、ブレーキどう?」

「バッチリや!」


「……チェーン、きれい」

「すず、ありがとう」


準備をしているだけなのに、

胸の奥がずっとワクワクしていた。



準備が整うと、

先生の奥さんが四人に声をかけた。


「みんな、気をつけてね。

 無理しないで、ちゃんと休憩しながら行くのよ」


ひよりが笑顔で答える。


「はい!

 本当にありがとうございました!」


悠斗も深く頭を下げる。


「送ってもらって助かりました!」


すずは静かに言った。


「……ありがとうございました」


湊も胸の奥から言葉が出た。


「本当に……ありがとうございます」


先生の奥さんは優しく微笑んだ。


「楽しんできてね。

 しまなみは、きっと忘れられない旅になるわよ」


ワゴン車が去っていくと、

駐車場には四人と先生だけが残った。


加藤先生が言う。


「さて……

 ここからは“写真部の旅”だ。

 ペースも、撮影場所も、全部自分たちで決めろ」


悠斗が拳を握る。


「よっしゃ、行くで!」


ひよりが海を見ながら言う。


「まずは……来島海峡大橋、渡ろうよ」


すずが小さく頷く。


「……海の上の道」


湊は深く息を吸った。


(あの橋を渡るんだ……

 自分の足で)



サンライズ糸山の展望台に上がると、

巨大な白い橋が目の前に広がった。


来島海峡大橋。

しまなみ海道の最初の橋であり、

世界最大級の三連吊橋。


ひよりが息を呑む。


「……大きい」


悠斗が言う。


「写真で見るより、何倍も迫力あるな」


すずは静かに呟いた。


「……海の上に、白い線が伸びとる」


湊はスマホを構えた。

でも、すぐに下ろした。


(写真じゃ……このスケールは伝わらない)


加藤先生が言う。


「しまなみ海道は“走って初めて分かる景色”だ。

 写真はそのあとでいい」


湊は頷いた。


(そうだ……

 まずは、この道を感じたい)



四人は自転車にまたがった。


海風が頬を撫で、

夏の光が橋の白を照らしている。


ひよりが言う。


「じゃあ……行こっか」


悠斗が笑う。


「しまなみ海道、スタートや!」


すずは静かにペダルを踏み出した。


「……風、気持ちいい」


湊は深く息を吸い、

ペダルを踏み込んだ。


(ここから始まるんだ。

 夏のしまなみの旅が)


四人の自転車がゆっくりと動き出し、

来島海峡大橋へ向かって進んでいった。


夏の光の中、

しまなみ海道の旅が始まった。


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