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光のしまなみ、夏のさざなみ  作者: 双鶴


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第37話 多々羅大橋と、島の午後の風

鯛めしの店を出ると、

大三島の午後の空はどこまでも澄んでいた。


「多々羅大橋まで歩けるん?」

悠斗が地図を見ながら言う。


「歩けるよ。

 海沿いの道、気持ちいいんよ」

ひよりが答える。


すずは小さく頷いた。


「……風がやわらかい」


湊は海を見ながら歩いた。


(島の午後って、こんなに静かなんだ)



しばらく歩くと、

巨大な白い橋が姿を現した。


「うわ……でっか」

悠斗が思わず立ち止まる。


多々羅大橋。

しまなみ海道の中でも特に美しいとされる斜張橋だ。


加藤先生が説明する。


「多々羅大橋は“世界最大級の斜張橋”だ。

 塔の高さは226メートル。

 しまなみ海道の象徴の一つだな」


ひよりが橋を見上げる。


「ケーブルが楽器の弦みたいに見えるよね」


すずが静かに言った。


「……空に線が描かれとるみたい」


湊はスマホを構えた。


白い塔、

張り巡らされたケーブル、

その向こうに広がる海と島。


(橋って、こんなに綺麗なんだ)



橋のたもとには、

「サイクリストの聖地」と書かれた石碑があった。


悠斗が興奮する。


「おお!

 これ写真で見たことあるやつや!」


ひよりが笑う。


「ここで写真撮るの、定番なんよ」


五人は並んで記念写真を撮った。


加藤先生が言う。


「この橋、実は“鳴き龍”のような現象があるんだ」


湊が聞き返す。


「鳴き龍?」


「塔の下で手を叩くと、

 音が反響して“キーン”と響くんだよ」


悠斗が早速試す。


パンッ!


「……おお!?

 なんか響いた!」


ひよりも手を叩く。


「ほんとだ!

 面白いね!」


すずは静かに耳を澄ませた。


「……音が跳ね返っとる」


湊も試してみた。


パンッ。


塔の内部で音が細く伸び、

空へ吸い込まれていくように響いた。


(不思議な音だな)



橋の下のベンチで少し休憩することにした。


潮風が心地よく、

海の向こうには生口島が見える。


ひよりが言う。


「しまなみって、

 “海の上を歩いとる”みたいな気分になるよね」


悠斗が頷く。


「自転車で渡ったら絶対気持ちええやろな」


加藤先生が笑う。


「いつか部活で“しまなみ合宿”もいいかもしれんぞ」


すずがぽつりと言った。


「……渡ってみたい」


湊は海を眺めながら思った。


(いつか、ここを自転車で渡るのもいいな)


午後の海は穏やかで、

橋の影がゆっくり揺れていた。



加藤先生が立ち上がる。


「そろそろ戻るぞ。

 今治に戻って、夕方は自由撮影だ」


ひよりが嬉しそうに言う。


「商店街とか港とか、撮りたい場所いっぱいある!」


悠斗が拳を握る。


「よっしゃ、夕方の今治、攻めるで!」


すずも小さく頷いた。


「……楽しみ」


湊は橋を振り返った。


(多々羅大橋……忘れられない景色だ)


島の午後の風を背に、

五人は再び今治へ向かった。


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