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光のしまなみ、夏のさざなみ  作者: 双鶴


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34/45

第34話 朝の港と、しまなみの入口へ

翌朝。

ホテルの窓から差し込む淡い朝の色に、

湊はゆっくり目を覚ました。


時計を見ると、まだ6時半。


(せっかくだし、港に行ってみよう)


支度をしてロビーに降りると、

すでに悠斗がストレッチをしていた。


「お、湊。

 朝の散歩行くんやろ?」


「うん。港、近いし」


「ほな行こか。

 朝の今治、気持ちええで」


二人はホテルを出て、

静かな港へ向かった。



朝の今治港は、

昨日の賑わいが嘘のように静かだった。


船がゆっくり揺れ、

遠くでカモメが鳴き、

潮の匂いがほんのり漂う。


「……いいな、これ」

湊が呟く。


「せやろ?

 今治の朝は“港の音”が主役や」

悠斗が笑う。


湊はスマホを構えた。


船の影、

水面の揺れ、

朝の空の淡い色。


(松山の朝とは違う。

 港町の“静けさ”がある)


しばらくすると、

ひよりとすず、そして加藤先生も合流した。


「おはよ〜。

 朝の港、気持ちいいね」

ひよりが伸びをする。


すずは海を見つめていた。


「……波がやわらかい」


加藤先生が言う。


「よし、朝食を食べたら“サンライズ糸山”へ行くぞ。

 しまなみ海道の入口だ」


悠斗が目を輝かせた。


「おお!

 ついにしまなみか!」


湊は胸が少し高鳴った。


(しまなみ海道……名前だけでワクワクする)



朝食を済ませ、

タクシーでサンライズ糸山へ向かう。


車が坂を上ると、

視界が一気に開けた。


「うわ……!」

ひよりが声を上げる。


眼下には、

青い海と島々が広がり、

その上に巨大な橋が伸びていた。


加藤先生が説明する。


「これが“来島海峡大橋”。

 世界初の“三連吊り橋”だ」


悠斗が興奮する。


「でっか!

 なんやこれ、海の上に道が浮いとるみたいや!」


すずは静かに見つめていた。


「……島が近い」


湊は息を呑んだ。


(しまなみ海道って……こんなに綺麗なんだ)


タクシーを降りると、

潮風がふわりと吹き抜けた。


サイクリングターミナルには、

自転車を借りに来た人たちが集まっている。


ひよりが言う。


「ここから自転車で島を渡れるんよ。

 “海の道”って呼ばれとるんよ」


加藤先生が頷く。


「今日は渡らないが、

 入口だけでも十分に価値がある。

 ここからの景色は“しまなみの名刺”みたいなものだ」


湊はスマホを構えた。


橋の白いアーチ、

海の青、

島々の緑。


(全部が“旅の色”をしている)


悠斗が言う。


「湊、あの橋の下から撮ると迫力あるで」


ひよりが指さす。


「こっちの展望台からは“海の道”が綺麗に見えるよ」


すずは静かに言った。


「……潮の流れ、速い」


加藤先生が補足する。


「来島海峡は“日本三大急潮”の一つだ。

 潮流が速いから、渦ができることもある」


湊は驚いた。


「そんな場所に橋を……?」


「だからこそ“世界初”なんだよ」

先生が笑う。


五人はしばらく、

それぞれの角度から景色を楽しんだ。


旅の2日目が、

静かに、そして確かに始まっていた。


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