【七話】赤を塗りたくった黒
後日、教会に戻るとヒューストン姉弟が笑顔で出迎えてくれた。
バクとビリーはもちろん笑顔を返し、大きく手を振った。
「お~元気そうっすね、モザイクさん! ヒューゴーも元気にしてたか?」
「昨日ぶりですね」モザイクが小さく笑う。
「元気に決まってるじゃないですか」ヒューゴーが優しく笑う。
「それもそうだな……」
バクからしてみれば教会がヘイトの標的にされている中、心配で仕方がなかったのだ。
しかしヒューストン姉弟たちは大して気にしていない様子だった。
これは推測になるが、世界ドミニオンズ機構が教会を念入りに守ってくれていたのだろう。
実際、怪しげな男たちが自然エリアと都市エリアの境に立っているのを見た。
あれはバクの身体検査にも同席していた顔ぶれだ。
「おい、ビリーもあいさつしとけよ。たった数日で人見知りに戻るような仲じゃないだろ」
「……まあ」
「まさかまだ気にしてんのか? オレが言うことじゃないけど」
バクは間を取り持つかのようにモザイクの瞳を見た。
じっと見てみると、そこに映っていたのは赦しの色だった。
「ん」
「わかってら……モザイクさん、ヒューゴーさん、また迷惑をかけることになる」
「構いませんよ。誰でも歓迎いたします」モザイクが優しく笑った。
「仲間が増えるのは嬉しいことです」ヒューゴーが小さく笑った。
「じゃあ仕事始めるか!」
ドミニオンズは数が少なく、それでいて嫌われている。
だからこそ引き合い、集まる。
運命は目に見えない形をしているが、手でつかんで確かめることができる。
いま、バクたちは確かに温かい繋がりを感じ取っていた。
しかしすぐに仕事を始めるわけにもいかず、改めて教会を案内してもらうことになった。
バクもビリーも実はこの施設のことをよくわかっていないのだ。
「こちらがエントランスですね」
「もう見た」
「俺がブチ破ったところ、直ってるな」
青白いタイルが敷き詰められた三畳ほどの空間に、アーチ型の装飾が出迎えてくれた。
靴箱はないが、砂を払うためのマットが代わりに敷かれている。
モザイクはスカートをパタパタとなびかせてわずかな埃を落としていった。
子供たちはこの場所でよく駄弁っている。
「次に祈りを捧げる広間です。伝え忘れていたかもしれませんが、私どもの教会は既存の宗教とは一切関係ありません。かの災厄が世界を蝕んだあとにできた新しい宗教です」
「祈るって誰に?」
「見えないなにかです。亡くなった親族でも遠くに行ってしまった友人でも、誰でも良いのです。ただ静かに自らの内面と向き合ってもらえたら、それで──」
それらを体よく「神」と呼称することもあるらしい。
ついでに言うと神へ祈ること自体は禁止されていない。
誰もが違う方向に話しかけていながら、同じ意味を共有しているのだ。
「そして広間の奥にはガラスの装飾──いわゆるモザイクと呼ばれる芸術品と、偶像があります。脇に抜けましょう」
トンネルを広く明るくしたような広間の奥には扉が二つある。
片方はヒューストン姉弟と子供たちの部屋に、もう片方は他の空間に繋がっている。
しかしさらに奥でそれらが合流する構造になっているため、別にどちらの扉を使おうがどうでも良い。
モザイクは気まぐれに左から入っていった。
「お恥ずかしながら私の部屋は片付いておりませんが、私の可愛い弟は綺麗好きなのですよ」
「へぇ、ひとつの部屋に仕切りを設けて──」
「実質的に二つの部屋になってるわけか」
この教会はお世辞にも広いとは言えない。
そして災害などがあれば避難所として使われることになっている。
ヒューストン姉弟のために割けるスペースは、いくら教会の主と言えどそう多くないのだ。
ひらひらとしたカーテンの左側がモザイク、右側がヒューゴーの寝室らしい。
二人とも自分の居場所を清潔に保っており、いくらか趣味の品が置かれているだけであとは同じだった。
使われた形跡のないベッドに軋んだ机、そして本棚……もう少し贅沢をしても誰も怒らないだろうに。
「バク様、ビリー様、本はお好きですか?」
「好きじゃないし、字はあんまり読めない」
「マンガも含めるなら好きってことになる」
「お二人とも小説は読まない、ということですね。でしたら──」
モザイクは自分のほうの本棚から二冊の小説を取り出した。
文庫本と同じ大きさの、よく開かれた形跡のある古びた小説だった。
とても軽い。
インクの匂いも……やはり年季によって隠されている。
「バク様には『星の王子さま』を。とても簡潔な内容ですが、世界中で愛されている文学です」
「なんか良さげなタイトル」
「ビリー様には『アルジャーノンに花束を』を。こちらは少しだけ大人っぽい内容です」
「さっきのよりよっぽど子供向けみたいな題名だけどな」
モザイクはそれらを紙袋に入れると二人の胸元に預けた。
そして案内が再開された。今度は子供たちの部屋だ。
低い位置に設置されたドアノブを回すと、色とりどりの装飾品が目に飛び込んできた。
「子供たちにはよく工作をさせているのです。ぜひご覧ください」
「結構本格的じゃないか?」
「創造性にあふれてるな」
この教会はただの孤児院ではない。
子供たちがいずれ独り立ちできるように支援する場所でもある。
平日はアルファベットや算数、大まかな歴史をヒューストン姉弟が教えている。
休日にはみんなで原っぱに出て、体力を付けるようにしている。
優しく過保護に育てるだけでは意味がない。
ひとりで生きていけるようにしなければならないのだ。
「子供たちにはそれぞれ特徴があるのです。グナは感受性に優れ、すでに絵や詩を嗜んでいます」
壁に貼られた画用紙を愛おしそうになぞる。
「ファゾルトは溌溂とした性格で、スポーツが誰よりも得意です」
泥で汚れたシューズの表面を軽く払う。
「反面、自らの長所に気づけない子もいます。私には、ランドが事あるごとに他の子たちと差を感じているのが分かります」
あまり整っていない字が並べられたノートをパラパラとめくる。
「内気な性格で、挑戦することを拒む子も当然います。ジグベルタは恐れています、誰かと自分を比較することについて」
空欄の多いテスト用紙をじっと見つめる。
「彼らは人間で、製品ではありません。指紋がひとりひとり違うように、出来も不出来も違ってきます。もし子供たちが心の中で誰かに引けを感じているとしたら、それらを解消するのが私の役目です」
モザイクは子供用のイスに腰をかける。
バクたちもそれにならって腰かけ、部屋をぐるっと見てみた。
「自分は誰かと違うのだということ。それが普通であること。劣っていると思わないこと。自他境界をハッキリとさせることが教育の出発点だと考えています」
「確かに、オレはオレなんだって思うのが大事だな。オレってバカだけど戦える自信あるし」
「俺はバクのようには思えない。多少……比べる性格だ」
「バク様の考え方もビリー様の考え方も立派な個性ですから。もちろんバク様にはバク様の、ビリー様にはビリー様の良さがあるはずだとも言い切りません」
モザイクはイスから立ち上がると、子供たちの部屋から出ていこうとした。
出る前に三段ベッドの中に隠されていた絵本を本棚に戻すと、また視線を上げて言う。
「こんな世界だからこそ違いを受容してほしいのです」
次に案内されたのは食事をするための場所だった。
木のスプーンはヒューゴーの自作らしい。
真ん中にある大きなテーブルにはみんなの名札が貼られている。
シチューをこぼしたことがあるのか、所々シミができていて年季を感じる。
「すでにお教えしたことがあるかもしれませんが、私どもの教会は寄付によって支えられています。世界ドミニオンズ機構からの補助金もそうですし、一般の方からのご厚意も大きいです」
「ありがてぇ」
「食料を誰かに渡そうって発想がすげぇ」
人類の総人口は全盛期に比べるとものすごく少ない。
不適切な表現だが、そのおかげで餓死とは縁遠い世界となった。
いまや少ない耕地で高い食料自給率を保っている。
「私も料理は好きなんですよ」
「え、できないと思ってたっす!」
「おいバク、失礼だぞ」
モザイクが口元を隠して笑う。
「姉と弟であえて仕事を分けているのです。互いに暇ではありませんから。どちらも同じくらい子供たちと一緒にいられるよう、二人で話し合って決めた結果なのですよ」
「理由がタンジュンメーカイだ」
「でも俺いつかモザイクさんの料理食いたいな」
「伝統的で面白味のないものになってしまいますが、よろしいでしょうか?」
「「全然!」」
他人の趣味が気になるのと同じように、他人の作る料理の味は知らずにはいられないものだ。
好きな人の料理が美味しかったらもっと好きになるだろうし、嫌いな人が手慣れた家庭料理を振る舞ってきたら見直すだろう。
これは偏見だが、モザイクはとても料理が上手な人間に違いない。
バクたちは腹の虫をぐっと抑えた。
この世界にはたったひとつ、絶対に破ってはならないルールが存在する。
それは「他人が作った料理に不味いと言ってはならないこと」だ。
食材には生産者がいて、料理には作り手がいる。
裏にある苦労を知らないで不味いと言い放つなんて、とてもじゃないが大人のやることではない。
だが、しかし……。
「(モザイクさんの料理、マジで口に合わねぇ……ッ)」
「(嘘だろ……なにかの間違いだろ……?)」
歩き疲れた身体を癒すための昼休憩。
モザイクは簡単な家庭料理をバクたちに振る舞っていた。
そしてそれがあり得ないくらい不味かった。
本当に失礼なことだと思う。
わざわざ作ってもらったものに不味いと、そう考えてしまうなんて。
しかし本心は必ずしも押し殺せるものではない。
このグロテスクな現実は、変えようがなかった。
「(モザイクさん、たぶん味覚がほかの人と違うな……味付けがおかしい……)」
「(食材の比率がダメだ……肉が多すぎて油がかなり出てる……)」
バクたちはこれでも自炊ができる……ほうだ。
だからモザイクの問題点をすぐに見抜くことができた。
しかしそれらを伝えることは決してなかった。
二人は互いにアイコンタクトを取り合うと、皿に盛られた主菜、副菜などを一気に喉の奥へ流し込んで胃袋に完璧に封印してみせた。
味蕾を通さなければ不味さを感じることもないのだ。
「「ごちそうさまでしたッ!」」
「いかがでしたか、私の手料理は?」
「「おいしかったですッ!」」
これはヒューゴーを通して間接的に伝えたほうが良いだろう。
いま伝えたらショックを受け、最悪の場合料理がさらにマズくなってしまう危険性がある。
幸い、モザイクは自らの料理の才能を疑っていない。
誰も不幸になっていない内に軌道修正してしまおうじゃないか。
二人は胃の中に異物感を覚えながらも、足場を確認しながらゆっくりと立ち上がり、お皿を流し場へと返しに行った。
「あとは……そうですね。念のために二階も案内しておきましょうか」
「二階あったのか。ビリーは知ってたか?」
「知るわけが」
ゾロゾロと外に出て、モザイクの後ろに付いていった。
すると教会の裏に錆びた外階段を見つけた。
女性の体重程度でもキイと嫌な音が鳴る。
バクたちが乗ると……そこからは言うまでもないだろう。
二人して絶叫しながらおそるおそる昇っていった。
「ずいぶんと騒がしかったですね」
「はぁーっ、はぁーっ……!」
「あれ……げほっ、絶対直したほうが賢明……」
そんなこんなで小さな屋根裏部屋にやってきた。
三人の大人がギリギリ入るくらいの狭い部屋だった。
あるのは椅子がひとつ。
「座られますか?」
「「どうぞ、どうぞ」」
「それでは……」
そこにモザイクがゆったりと座り込んだ。
スカートの上で両手を重ね、視線は遠くにある。
「小窓があるでしょう。椅子に座ると、ちょうど海が見えるんです……あとでお二人にも見せますから、そんなにソワソワしなくても」
「海は綺麗っすか?」
「……いいえ」
「じゃあ海は好きっすか?」
「……はい」
「そうっすよね。目がすっごい落ち着いてる」
バクはモザイクと席を代わり、そこから海を眺めた。
最初に目を引いたのは、あの『幽霊』と呼ばれている不気味な竜巻だった。
「海は私に似ています。朝と昼はさっぱりしていて、岩礁や砂浜に弱く波を寄せるばかりです。しかし夜は真っ暗で、なにも見えず、どこにも取り付く場所がない。未知と恐怖が広がるばかり……余計なことを話しましたね」
「なら俺たちは泳ぎに来た観光客ってところだな」
あるいは考えもなしに沖へ出た楽天主義者。
バクもビリーも、まだ彼女のすべてを知らない。
どこが底で、どういう天気になるか、まったくもって知らないのだ。
それなのに仲良くしている。
「見えますか、ビリー様」
「はっきりだ。地平線の向こうに旧アメリカとか旧ロシアがあるんだな。本で読んだことがある」
「旧インドネシアではないかと」
「そっか」
ビリーが見ているのは南だ。
その反対、北のほうに隕石が落ちて、落ちて、落ちまくった。
数十年前の出来事だ。
汚染が広がっているせいで、いまとなっては誰も上陸できない。
死の大地と化している。
旧インドネシアはそちらと比べ、クレーターがないだけマシかもしれない。
「で、あの竜巻って結局なんなんだ? オレ、めちゃくちゃバカだからよくわかんないっす」
「おいおい、バクはそんなのも知らねぇのかよ」
「えっ、逆にビリーは知ってんのか!?」
「俺もわからんけど」
「コイツ……ッ」
バクがビリーにプロレス技を仕掛け始めたあたりで教会の案内ツアーはお開きとなった。
結局、一番重要な竜巻についてはなにも判明しなかったわけだ。
あれは誰がどういった原理で維持しているのか。
勢いが落ちないのなら、その飼い主がどこかにいるはずだ。
少なくともエルピス島に。
「んじゃあ子供たちの昼飯作らねーとな、ビリー?」
「お、ぁ……」
「あらまあ……ビリー様がダウンしてしまいました……」
バクはビリーの無駄にデカい図体を抱え、そのまま一階に降りていくのだった。
その頃、ガブリエルとカリスタが例の墓場周りを歩いていた。
「ごめんね、カリスタ君。シフト変えられて嫌じゃなかった?」
「いやもうめちゃくちゃ嫌で~……って言いにくすぎるっしょ」
「だよね」
二人の目的はフェルニゲシュの追跡をすること。
比類なき悪の集団を野放しにしておくほど、世界ドミニオンズ機構は甘くない。
見つけたら即殺。
政府からそう命令されている。
「許可くれた通行人、片っ端から『視て』いいよ」
「いきなり重労働ッスね~! まあ仕事なのでやるんです、が」
「変なのに絡まれても僕が全員やるから」
「ン了解~~~」
ガブリエルの「やる」とは、まあ物騒なほうの「やる」だ。
なぜって世界最大級のテロ組織を大っぴらに追跡しようと言っているのだ。
どこで奴らの目が光っているのか分からない以上、探偵役のカリスタにはガブリエルという用心棒が付いていなければ危うい。
記憶の中を覗き見ている間、ガブリエルはすべての存在に注意を払っていた。
「で、なんでしたっけ。リーダーが黒人の大男だって話しか降りてきてないンすけど」
「その認識で問題ないよ。ひとつ付け足すなら能力に注意しろってことくらい」
「へぇ? 特殊型だったり?」
「前衛寄りの特殊だよ」
フェルニゲシュ、もしくはそのリーダーの能力は厄介だ。
時間が経てば経つほど、逃せば逃すほど強くなっていくというもの。
しかしこの情報も、組織を裏切ってすぐに自殺した人格破綻者から得たものなので信ぴょう性はゼロに等しい。
こんな噂程度の情報が少なからず信じられているのは、フェルニゲシュの実力の高さ故だ。
どれだけ探し回っても尻尾すら見せないのだ。
もはや臆病の領域を超えた洞察力の高さ、戦略性の深さが伺える。
「でも即殺の理由ってぶっちゃけアレっすよね」
「十中八九サミットだろう。上の人たちは恐れてる、奴もしくは奴らに命を狙われることを」
三大人工島にはそれぞれ小政府があり、それを統べる大政府がある。
そこには当然、政治家や資産家がいる。
旧大陸の権威を引き継ぐ形で成立したそれは、とても複雑で「よろしくない」構造をしている。
数少ない資源を独占するべく、さまざまな企業とつながりを持ち、時には人道に反するやり方で大衆を操ろうとする。
だからフェルニゲシュは血で世界を洗い流す。なにも残らなくなるまで。
「もう何人も殺されてる。サミットに来る大臣は軒並み『処刑対象』だろうね」
「おっと、そういうこと言って良いンすか? アンタの胸に付いてるボイレコは政府の方々に聞かれてるんでしょ?」
「形だけだって。いま話してる内容は世界ドミニオンズ機構にしか届いてないと思う」
それもそのはず。
今日はサミットの開催を記念したパーティーが某ビルディングでおこなわれている。
ガブリエルのことなんか気にしちゃいないだろう。
「だとしても処刑対象って言い方は縁起が悪いと思うんだけどなぁ」
「それ以外にどう呼べば良いってのさ」
「ガブリエルさんってそういうとこあるッスよねー」
「まあまあ、この仕事終わったらどっかで食ってこうよ。悪かったね、連勤させちゃって」
「うわ、取って付けたような気遣い」
二人は笑いながら職場に戻っていった。
なんの成果も得られなかったが、それでも良いと思っていた。
仲間と笑い合えていれば、それだけで──
──ズゥン!
良かったのに。
脅威はある日、突然、僕らが予想もしてしない瞬間にやってくる。
「(何かが落ちた……いや、飛んだ?)」
「ガブリエルっ! 例のパーティー会場の方向からだ!」
「待て、映像が来た」
二十階建てのビル。その真ん中くらい。
何かがぶつかったような穴が開いており、そこから黒煙がモウモウと漏れていた。
だが飛行機やヘリが出動していた情報はない。
他の人工物が刺さった痕跡もない。
間違いない。
「ジロラミ、なにか見えるか」
『煙の中に誰かいる。ドミニオンズかもしれない』
仲間の後衛型ドミニオンズが事件現場から情報を寄こしてくれた。
「能力を使って限界まで視点を寄せろ」
『……見えた、黒人だ。んでガブリエルさんより背が高い』
「っ……」
『あと背中に白いタトゥーがある』
「どういうデザインだ!?」
ジロラミは瞳孔を細め、米粒のように小さい人影を見定める。
するとおぼろげながら、ぼんやりとした全体像が見えてきた。
『天に昇っていく龍。鱗が白銀に光っていて、横には英語も彫られて──』
ガブリエルは聞くよりも先にカリスタをセーフハウスに避難させ、空に飛び上がっていた。
マイク越しに空気が激しく擦れる。音が割れる。
事件の様子に圧倒されながらも、ジロラミは見えたものすべてを報告するという使命をまっとうした。
『ふぇる、に……げしゅ……?』
革命の指導者である彼は崩壊するビルの中で、まるで誰かを待っているようだった。
名簿ファイル
名前:ベルクフリト・ジロラミ
能力:身体機能の強化
分類:後衛型
好き:非番の日
嫌い:非番の日に事件を起こす人
補足:前線に出られないこともないが、本人の強い希望で後衛型としている




